Society for Neuroscience 2005参加記

 

 本学会は20051112日〜16日、ワシントンDCで行われた。参加者は約34000人とのことであった。初日、目当てのポスターにたどりつくまでには既に歩き疲れているという具合で、広すぎる会場には最後まで悩まされたが、やはり情報量が多いのは間違いない。話を聞いてみたい人を検索するとだいたい来ており、論文で名前を知っている人と直接話して、その研究の背景や実験のdetailなどを聞く機会としてやはり貴重である。とはいえ、34000人という巨大学会とは一体何か、考えさせられる。行きと帰りの飛行機が一緒でも、分野が違うと会場では一度も会わないほどである。同じ場所で多数の学会が開かれているようなものかも知れないし、新しい学会の形を提案しているようにも見える。しかし、これだけ体力を要するのでは、参加可能年齢には限界がありそうだ。

 今回は、はっきりaffective disorderdepressionantidepressantmood stabilizerなどの名前がついたポスターセッションだけでも12セッション(179題)あり、更に多いSchizophreniaなどとあわせ、精神疾患研究も一大勢力になりつつあることが感じられた。変性疾患の方では、アルツハイマー病の演題は減り始めているようで、既に製薬会社による水面下の創薬競争の方が中心になりつつある可能性も考えられた。一方、パーキンソン病は増えているようである。

 

12日ポスター

 朝到着したばかりで、飛行機疲れのためもあり、他のポスターまで見る余裕はなく、主として当チームのポスターの説明に参加した。特にTGマウスのポスターは大変好評で、NIHの人たちと製薬会社の人たちが多数来てくれた。

製薬会社の人の話を総合すると、やはり現在双極性障害の確立したモデルがないので、前臨床研究に困難があり、このマウスを使って、双極性障害への効果に関してテストできれば、臨床試験への展開の最後のチェックに使える、という感じに受け止められているようであった。

 

13

シンポジウムSleep and circadian rhythms: Flies and mammals

 最初のDr.Rosbachの話は、出発直前にNatureに掲載されているのを見つけ、持参していた論文の内容だったので、読まずにすんだ。ショウジョウバエでmorning細胞とevening細胞の相互作用で行動リズムが形成される、というキメラmutantを使った研究で、Elegantではあるが、何かマニアックな感じもした。話の後半は急にカルバマゼピンの作用機序の話になり、ハエにCBZを与えると睡眠が減少し、これがGABA-A受容体を介していることを明らかにした。しかし、これだけでは、これがbipolarepilepsyの作用機序と関係あるのか、眠気の副作用に関係あるのか、全くわからないと思った。しかし、CBZGABA-A阻害作用を持つこと自体、新発見ではある。リズム研究も峠をすぎて、大きなネタはなくなったのか、別の方向を模索しているのかも知れない。

 次はDr.Pracekの、概日リズム睡眠障害に関する研究の話であった。睡眠相前進症候群の患者で見つかったPerタンパク質の変異を導入したトランスジェニックマウスで、概日リズム周期が短いなどの所見が報告された。彼らは、概日リズム睡眠障害家系を70家系あつめたとのことであった。

 最後の演題は、有名なJoe Takahashiの講演であった。彼らはENUで変異を誘発したマウスを4万系統作り、既に約1万系統につき表現型スクリーニングを終えた。調べた形質は、視覚などに加え、行動に関係ありそうなものとしては、神経内分泌、精神刺激剤への反応、恐怖条件付け、概日リズム周期である。フリーランニング周期の分布は、24時間弱をピークとして、長いものは少なく、周期の短い変異が多いという非対称性があった。調べた12157系統のマウスのうち、363で変異が同定され、うち60異常でgerm line transmissionが確認された。代表的な変異として「part-time」というのが同定された。リズム異常が見つかる確率は他の形質に比べて10倍高い。その原因は、アッセイ系が確実で、正常と異常に重なりがないことと思われた。なお、これらのマウスは、http://www.neuromice.orgから購入できるとのことである。

 もう一つのプロジェクトでは、340系統の近交系マウスで、リズムに関してたくさんのパラメーターを調べるとともに、11000個のSNPを解析して、ハプロタイプと表現型の関連を調べることもやっていた。リズムは、LDDDLDLLと変化させ、DDLLのリズム周期を測っていた。LLの周期は2425時間で、DDより長いが、特にこちらについて系統差が大きかった。LLDDのリズム周期は相関するが、相関は強くないと言う。

 また、Clockノックアウトマウスを多数の系統のバックグラウンドで比較したところ、半分くらいの系統では、clockの表現型異常を失われるという。Clockの表現型の抑制因子は、各系統で異なっていた。

 Clockほど明確な表現型を呈する、サーカディアンリズムの中心分子であっても、バックグラウンドによっては差がでないこと、しかも差が失われる系統が多数あることは驚きであった。

 この日は、午後のポスターセッションもリズム関連のものを見た。

メラノプシン抗体で染めると、マウス、ラットでは神経節細胞しか染まらないが、ハムスターでは下垂体後葉の細胞が染まる。ただし、これがメラノプシンの染まりかは自信がないとのことであった(312.3)。ハムスターでは、LL条件にするとリズムがスプリットし、一日二回の活動期が見られるようになる。この時、左右SCNで位相が逆になっている(312.10)GnRHニューロンには、SCNLower Subventricular Zoneから投射がある。昼行性の草原ラットでは暗期の終わり、夜行性のラットでは暗期の始めに交尾するが、確かにGnRHcfosリズムも逆だとのこと。

視床下部VMHのニューロンの形態が交尾経験で変化する、という演題があった(320.20)。これは視床下部スライスにGeneGunDiI(色素)を打ち込むという方法で行われていた。(Golgiほどきれいには染まっていなかった) 結果は、Long Primary Neuronのスパイン数には差がなく、Short Primary Neuronのみでスパイン密度が減る、というものであった。経験で減るのか?と確認したら、スパインが学習で減るのはreasonableな結果だと思うといっていた。

14日午前中は、Affective Disorders: Postmortem findingsなど、関連のあるセッションにでたが、内容は多岐にわたっていた。とにかく、死後脳研究が花盛りで、色々な所見が報告されている。双極性障害では、扁桃体の神経細胞のサイズが小さい、青斑核のTH染色が低い、TPHが低い、などなど…。

Neuregulinによるリンパ芽球の遊走が統合失調症で低下している、という所見は興味深かった(443.9)。これは、米国で20年くらい免疫の研究を続けているDr.Seiという日本人の発表であった。リンパ芽球を遊走させる因子を探しているうちにNeuregulinで細胞が遊走することを見いだし、患者で調べたらこの遊走が低下していたという。浮遊細胞の遊走をどうやってみるのかと思ったが、フィブロネクチンでコートしたディッシュに細胞を入れ、しばらく培養した後、浮遊している細胞は流してしまい、よく接着している細胞のみで調べるとのことであった。このディッシュに、マイクロピペットで1カ所にNeuregulinをたらすと、そこに向けてリンパ芽球が遊走する。この時、Neuregulinの受容体であるErbBのリン酸化抗体で染めると、細胞の進行方向がよく染まっているという極性が観察できる。遊走の定量にはNeuregulinを入れた96ウェルプレートを使い、8umフィルターを途中に噛ませて、上に細胞を入れ、フィルターを通して泳いできた細胞の数を数える。このchemotaxisアッセイは確立したもののようである。また、Neuregulinの細胞内シグナルであるAKTのリン酸化も調べており、これも低下していたという。(そういえば、以前、GogosグループのNature Genetics論文で、統合失調症でAKTが低下しているというのがあった) 患者細胞での遊走の低下は、独立のサンプルでも再現された。

ただ、統合失調症とコントロールの細胞の継代回数が違う可能性が気になった。(細胞はNIMHのものであり、患者のリンパ球の方がサンプルを頻繁に配るため、継代回数が長く染色体異常がおきていたりする可能性がありうる。)

Schizophrenia患者の死後脳で毛細血管を調べた研究があった。尾状核、視床では単位体積あたりの血管は長いが、体積で補正すると差がない。一方、扁桃体では単位体積あたりの長さは差がないが、体積で補正すると長い(555.9)

これまで、こうした血管の病理所見が少なかったのは、多数のスライスの写真をとって再構成しないと長さが測れないためだという。彼らは、これらの部位の全スライスを検討したらしい。

PTPを抑制するとミトコンドリア内のCa沈殿が増加することを電顕で確認した報告もあった。また、Caに対するmPTPの感受性が年齢依存性に変化するとの報告もあった。また、ミトコンドリアの動きをみていると、ミトコンドリアはシナプスのある場所にとどまる確率が高く、シナプスを不活性化させるとこの局在は抑制されるという。

午後は、細胞の生と死のシグナル、というSolomon Snyderの講演にでた。チトクロームCIP3受容体と相互作用することや、IP3のリン酸がピロリン酸になっているIP6IP7がある、との話、皆が分母に使っているGAPDHが実は重要だという澤先生の論文の話、などであった。

講演の前に、授賞式があり、ヘンシュグループディレクターがYoung Investigator Awardを受賞した。PresentatorBSIのことを素晴らしいところだと誉めてくれていた。

 

15日シンポジウム「Epigenetic Mechanisms and Gene Networks

 最初のDr. Francis Champagneは、主として例のWeaver論文の内容を話したが、新データーとして、MPOAERαのプロモーターのDNAメチル化についても発表した。L-LG(低養育)とH-LG(高養育)でオキシトシン受容体、ERα共に発現量が異なる。オキシトシン受容体はEstrogenによりERαを介して制御されていることから、ERα遺伝子上流のDNAメチル化を調べた。ERα遺伝子上流のCpGアイランドには14CpGサイトがあり、Sodium Bisulfite法で調べたところ、711番目のCpGのメチル化がL-LGで高かった。クロマチンIPでも同様の変化が見られた。一方、視床下部腹内側核(VMH)では、逆にメチル化が低下していた。これらのことから、高養育ラットの仔では、ERαのメチル化が低下し、母性行動が促進される一方、VMHのERαメチル化は亢進し、性行動は抑制される(?)というような関係があると考えられた。

 次はMark Mayfordであったが、pCAMKIIα-tTAのトランスジェニックマウスとtet-o CaMBP(カルモデュリン結合蛋白)TGマウスの2種をかけあわせ、ドキシサイクリン投与によってカルモデュリンが阻害される系を確立した。その結果、このマウスでは、100Hz刺激1回でのLTPは正常だが、100Hz刺激3回によるLate-LTP(3時間)は低下しており、late-LTPにカルモデュリンが重要であると考えられた。このマウスで新規物質認識テストを行うと、1時間後の短期記憶には障害はないが、24時間後で障害が見られ、L-LTPと長期記憶の関係が示唆された。カルモデュリンはCREBを増やし、CREBCBP(CREB binding protein)と相互作用すること、CBPの点変異が発達障害を起こすことから、CBPに変異を導入し、c-fosのプロモーター活性への影響をみると、低下していた。しかし、これはTSAで処理するとレスキューされることから、CBPはヒストンアセチル化を介して記憶に関与すると考えられた。Epigeneticsのセッションにもかかわらず、本題にたどり着くのに時間がかかり、epigenetics関係のデーターはしょぼい、という少々期待はずれの発表であった。

 3番目はDr.Kumar(Neslerラボ)の薬物依存とクロマチンリモデリングについての話であった。コカイン投与でΔfosBが蓄積することが薬への欲求を高めると考えられている。コカインの1回投与で、FosBプロモーターのヒストンH4のアセチル化が亢進するが、H3は不変である。ところが、慢性投与では、逆にH3が亢進し、H4は変わらない。このように、急性投与から慢性投与になるにつれて、ヒストン修飾のパターンが変化すると考えられた。長期の自己投与モデルでも、H3アセチル化の亢進という、慢性投与と同じ結果が得られた。また、CDK5についても同じような変化が見られた。HDAC阻害薬であるButyrate(酪酸)がコカインの作用を強めること、HDACの過剰発現(TGマウス)でコカインの作用が低下することから、これらのヒストン修飾がコカインの作用を変化させていると考えられた。更に、ChIP-chip法で網羅的にCREB、ΔfosBNFκBのヒストン変化を調べた。NimbleGenのマウスプロモーターアレイ(26842遺伝子、各遺伝子のプロモーター1.5Kb50bpのプローブが15カ所)を用いて調べた。ΔfosBでは、アセチル化(H3H4)の上昇が85個、低下が48個であった。ヒストンアセチル化が変わっていた遺伝子は、神経伝達関連、細胞骨格関連、クロマチンリモデリング関連、とのことで、具体的なデーターは出されなかった。

 

15

 Pathology of Schizophreniaのセッション(674)は澤研からDISC 1関連で9枚のポスターがでていた。DISC1ATF4との共発現でHTLVのプロモーター活性を上げるなど、転写制御因子の作用、中心体にDyneinをリクルートする作用、Kakirin7と相互作用してラメロポディアの形成に影響する、などのデーターが出ていた。DISC1のマウスは、ノックアウトとCAMKII-mutDISC1TGとを解析していた。

 Affectiveのセッションでは、clockマウスが躁病モデルとして発表されていた(UU94Nesler Lab)。その根拠は、多動、ドーパミン増加、報酬依存性の増加、FST/LHで絶望が低下、高架式十字迷路およびfood aversion testで不安が低下、などである。多動、絶望しにくい、不安、についてはリチウムで改善した。マイクロアレイではTHの増加など、ドーパミン系の変化が示唆された。

UU-92

 VPA、リチウム、CBZに共通の遺伝子発現変化をSH-SY5YNBFLという2つのNeuroblastoma細胞で調べ、共通の変化をメルクマールとして、スクリーニング系を立ち上げ、候補薬をとってきた。これをマウスに投与した。アンフェタミン+クロルジアポキシド投与への効果が、抗精神病薬と気分安定薬を区別できるとの論文に基づいて調べたところ、気分安定薬様の効果が見られた。

Manji研は、ラモトリジン、Riluzole、抗うつ薬はバルプロ酸と逆にグルタミン酸受容体の膜へのトラフィッキングを増やすことを報告した。他には、リチウムがBDNFMet型によるトラフィッキング異常を改善すると報告した。

 

Non-image-forming visual receptionは、メラノプシンと錐体・桿体のトリプルノックアウトで初めて完全に抑制され、LDサイクルでもフリーランするようになる。

マウスのうち、メラトニンを持つことが知られているのはC3H/HeNで、メラトニンの研究には通常これが用いられている。メラトニン受容体(MT1MT2)は脳に幅広く分布しているが、視床下部では、SCNPVNSPZに局在している。

SCNスライスにメラトニンをかけると位相シフトが起きるが、この効果はC3Hだけでなく、C57でも見られる。C57(B6)ではメラトニンがなくても受容体は発現し、作用はあるようだ。なくても良いなら、どんな生理的意義があるのでしょうか、と尋ねたが、それは謎だ、とのことであった。

 

16日午前 Schizophreniaのスライドセッション

Akbarian(815.3)は、死後脳でヒストン修飾の研究ができることを示し、AMPA/KA型グルタミン酸受容体ではヒストンH3K4H3K27の修飾はmRNA発現と相関していることを示した。子供と成人では、回帰直線が異なっていた。

DISC1の相互作用相手として、PDE4Bが新たに注目されている。DISC1cAMP上昇によりPDE4をリリースする。この遺伝子に転座を起こした家系も報告された。(今週、Scienceに掲載された!)

物議を醸す演題があった(815.6)。凍結死後脳にNeuregulinをかけると、その受容体であるerbBのリン酸化や、AKTのリン酸化を見ることができる。この方法で調べてみると、統合失調症患者はコントロールと全く重なりないほど、リン酸化が亢進していた。動物実験では、抗精神病薬はこの系に影響せず、投薬の影響ではなく、病態によるものと考えられた。あまりにも差があるので、病態ではなく、サンプルの何らかの撹乱因子によるものである可能性を全部つぶさないといけないし、大変そうだなあと思った。もし撹乱因子のせいでなければ大発見であるが、これだけの違いが本当だと証明するのはなかなか大変だろう。投稿中とのことであったが、簡単に通るとは思えなかった。この発表を見て、本当に重大な発見こそ、たくさんの確認が必要だという当たり前のことを思い知らされた。すぐに論文が通ってしまうような結果は、positiveだろうがnegativeだろうが、世の中にあまり影響しないということか…。

ポスターセッションでは、死後脳から小胞体分画を精製し、小胞体のNR2Bが低下しており、NR1のリン酸化が増加しているなど、NMDA受容体が膜にトラフィックしにくくなっていることを示唆するデーターが示された。

WFS1の分布を調べた研究では、網膜神経節細胞に強く発現しているとのことで、Wolfram病における視神経萎縮は、神経節細胞の死による二次的なものではないかと考察されていた。

 

16日午後は、NIMHMcMahon研究室を見学させてもらった。彼は現在、数千名ずつの関連研究を行っていて、全ゲノム関連研究を始めるところだとのことであった。Genotypeは今後イルミナで行うとのこと。SNPチップはgenotypeエラーが多いためだと言っていた。SNP genotypingしたい時は、TaqMan→それでだめならFP (Fluorescent Polarization Transfer)Pyrosequencing→シーケンス、の順とのことであった。

彼は既に、mtDNA 10398も全員で調べていて、今まで関連が報告されたSNPをたくさんgenotypeして、統計解析を行って相互作用を見ようとしているとのことであった。

彼は今もメフロキンに強い関心を持っていて、最近、メフロキンによる精神障害発症率が44倍だという論文がでた、と言っていた。軍での使用で精神障害発現率が低いのは、軍が隠しているからだ、と言っていた。

 NIMHのレビューシステムについても聞いたが、4年に1回で、レフェリーはセンター長が決め、チーフには前日まで知らされないという。やはりBSI同様、研究員だけから色々話を聞くそうだ。論文がでていないからだめ、ということはなく、長期的な展望で研究をしていて、これから結果がでる、というようなことでもだいたいacceptableだという、つぶされる研究室は4年に1回程度で、業績がでていないというよりも、研究員が行った仕事を全部筆頭著者で書いていたラボヘッドの研究室がつぶされた、という程度のようであった。NIMHは、グラントを配る側なので、分厚い申請書を毎年書く必要はないという。

 

全体の印象

 本学会を通じて、双極性障害研究にはそれほど見るべき進歩は感じられないように思った。(我々の研究は別、と思いたいが…)。

 一方、統合失調症研究は、DISC1とニューレグリンの分子生物学的研究がどんどん進んでいるが、DISC1の機能は多彩すぎて逆によくわからない。ニューレグリンの研究は、結果がすごすぎてにわかには信じられない、という感じであった。GABAニューロンの減少に関しても盛んに研究されていた。

 両者ともに、死後脳研究の数が大変多く、新たに死後脳研究を始めたグループも多いように思われた。しかし、死後脳研究ではアーチファクトの元が非常に多く、その解釈がしばしば困難であるという点について、どの程度共通認識がもてているのか、疑問に思った。UCIのグループのように慎重な人たちばかりではない印象であった。

 いずれにせよ、精神疾患の研究自体は大変盛んになっているのは大変喜ばしいが、まだまだ本質には迫れていない、と思う。