Q: 双極性障害では、三環系抗うつ剤をのむと症状が悪化するし、選択的セロトニン取り込み阻害薬は効果がないと聞きました。抗うつ剤に変わる別の薬の研究は進んでいるのでしょうか?
A: 最近「双極性うつ病(双極性障害のうつ状態)」に対して、日本で臨床試験が進んでいるのは、オランザピン(イーライリリー)の双極性うつ病に対する効果、およびラモトリギン(グラクソスミスクライン)の双極性うつ病に対する予防効果の2つです。オランザピンは非定型抗精神病薬、ラモトリギンは元々は抗てんかん薬です。
また、クエチアピン(アステラス製薬)も、非定型抗精神病薬で、海外で双極性うつ病に対する有効性が報告されていますが、日本での臨床試験はまだだと思います。
その他、米国で双極性うつ病に対する臨床試験が行われている治療法を、米国NIHの臨床試験検索サイト(http://clinicaltrials.gov/)で検索してみましたら、山ほど出てきました。下に全て列挙しますが、ちょっと玉石混交の感もあります。
この中から何が生き残るかわかりませんが、とにかく有効で副作用の少ない薬が生まれて欲しいものです。
双極性うつ病に対して臨床試験中の治療法一覧 (見落とし、あるいは間違い等あるかも知れませんが、ご容赦願います)
抗うつ薬
シタロプラム(SSRI)
エスシタロプラム(SSRI)
パロキセチンParoxetine(SSRI)
ベンラファキシンVenlafaxine(SNRI)
ブプロピオンbuproprion(ドーパミン取り込み阻害薬)
サートラリンsertraline(SSRI)
フルオキセチンFluoxetine(SSRI)
抗てんかん薬
カルバマゼピン徐放錠Carbamazepin ER
フェルバメートFelbamate(抗てんかん薬)
バルプロ酸Divalproex
トピラメートtopiramate(抗てんかん薬)
認知症治療薬など
リルゾールRiluzole(NMDA受容体阻害薬?)
メマンチンMemantine(NMDA受容体阻害薬)
レベチラセタム(levetiracetam) (Ca2+チャンネル阻害薬?)
ガランタミンGalantamine (アセチルコリン作動薬)
ドーパミン作動薬(パーキンソン病治療薬など)
プラミペキソールPramipexole(ドーパミン作動薬)
セレギリンselegiline(MAO阻害薬)
ロピニロールropinirole(ドーパミン作動薬)
抗精神病薬
アリピプラゾール(非定型抗精神病薬)
Bifeprunox(ドーパミン部分アゴニスト)
ジプラシドンziprasidone(非定型抗精神病薬)
AA34893(非定型抗精神病薬?)
アセナピンasenapine(非定型抗精神病薬)
内分泌系
ミフェプリストンmifepristone(RU-486)(プロゲステロン受容体阻害薬)
甲状腺ホルモンtriiodothyronine
プレグネノロンPregnenolone(神経ステロイド)
神経保護薬
セフトリアキソン(Ceftriaxone)(抗生物質だが神経保護作用が見出された)
ミトコンドリア病治療薬など
ウリジン(Repligen)(ミトコンドリア病治療薬)
コエンザイムQ10 (Coenzyme Q10)
その他
スコポラミンScopolamine(抗コリン薬)
アルモダフィニルArmodafinil(中枢刺激薬)
カンナビノイドcannabinoids
物理的治療法
経頭蓋磁気刺激(TMS)
低磁場磁気刺激(Low Field
Magnetic Stimulation)
断眠療法、あるいは睡眠相前進Sleep deprivation and sleep phase advancement
電気けいれん療法(ECT)
高照度光療法Bright light therapy
遠赤外線Far infrared
心理療法
認知行動療法Cognitive Behavioral Therapy
対人関係-社会リズム療法Interpersonal and Socail Rhythm Therapy (IPSRT);
インターネット疾患管理プログラムInternet based disease management program
サプリメント系
ω3脂肪酸Ethyl Eicosapentaenoic Acid
タウリンtaurine(アミノ酸)
シチコリンCiticoline(脂質前駆体のCDP-コリン、サプリメント)
葉酸(Folic Acid)
MCN36
カルノシンL-carnosine
代替医療
ヨガSudarshan Kriya Yoga
鍼(はり)Acupuncture(東洋医学)