NPO法人日本双極性障害団体連合会」(通称ノーチラス会)設立会無事終了!

 

 

201065日(土)、「NPO法人日本双極性障害団体連合会」設立会が無事に終了しました!

ちょっとしたトラブル程度はあったかも知れませんが、つつがなく終えることができて、本当に良かったなあ、と思います。

 

会では品川区長など、来賓のご挨拶の後、ノーチラス会の会員お二人のお話がありました。お二人の話には、本当に感動しました。精神科医になって、双極性障害(躁うつ病)という病気を抱えた方々と初めて出会い、こんな病気があるのに、どうして現代の医療は追いついていないのだろう、と思い、双極性障害の研究を始めた頃の初心を思い出しました。

そして、躁うつ病を世の中に知らしめた作家、北杜夫さんのご令嬢で、エッセイストである斎藤由香さんのお話。実は、お願いした時から、かなり悩んでおられたところを無理にお願いしてしまったのですが、ご講演の冒頭でも、深刻に悩んでおられる方々の前で面白おかしい話をしても良いのか、と、目を潤ませながら話されました。しかし、辛いときこそユーモアが大事、ということで、本当に楽しいお話をいただきました。お父様の壮大なる躁状態の話をいろいろ話してくださいましたが、父の躁状態で家じゅう大変な目にはあったけれど、決して父を嫌いになったことはない、と話されました。会場には笑いがあふれ、会場一同、幸せな気持ちに包まれました。

そして、芥川賞作家の絲山秋子さん。主治医に病状は伝えたいけれど、あまり具体的なこともなあ、という時に、医者が聴きたいのは具体的な内容よりも、逸脱行動があったか、とかなかったか、という事なのだから、チェックリストを作って、これはあった、とか、伝えてみたらよいのでは、などというお話は、なるほどなあ、と思いました。また、状態が変わった時など、主治医から、次の治療はどうしたい?と訊かれるようになったというお話など、当事者主体の医療という、当り前のことが再認識されました。服薬や生活のリズムなどをきちんとセルフコントロールして、締め切りのある原稿もこなしながら、魅力ある作品を次々と生み出し続けている絲山秋子さんの言葉だけに、一言一言に説得力があり、当事者の方々にも、大きな心の支えになったと思います。

その後の座談会では、会場からの質問に答えて、斎藤さんが、絲山秋子さんは類い希なる才能を持っていらっしゃるのだから、私も仕事をやめて作家に、などと皆が思ったら大変、決して安易に仕事をやめるとか考えないで!、安定した職は大事ですよ、と、しっかりとメッセージを伝えてくださいました。

 

これまで、我が国には、双極性障害の当事者団体全国組織はありませんでした。

発症頻度や社会生活障害の大きさなどから、社会的影響の大きさの点で二大精神疾患の一つとされながら、どういうわけか社会的に認知されてこなかった双極性障害。偏見があるというよりも、その存在自体が知られていない、というのが一番の問題だったのだと思います。

こうして、当事者の方々が檀上に立ち、最初のうつ状態ではうつ病と診断されて、その後躁転してお金や友人を失い、自殺企図…という大変な体験の末に、何年もたってやっと双極性障害と診断されて、維持療法で安定した、というお話をされ、それがニュースで全国放送されて、というのは本当に画期的なことでした。これが双極性障害への認識が変わるための、大きな転換点になると信じています。

 

この場を借りまして、斎藤由香さん、絲山秋子さんをはじめ、ご尽力いただきました皆様に心より感謝申し上げます。

また、財政面の困難や人手不足の中、これだけの会を、当事者の方々独力で開催されたことには、心から敬意を表すると共に、しばらくゆっくり休んでくださいね、と思います。(加藤忠史)

 

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日時:201065() 13001700

 

場所:品川区総合区民会館(きゅりあん)1階、小ホール(定員:約300名)

 

プログラム:

 

1部 年輪の会創立35周年記念式典

2部 NPO法人日本双極性障害団体連合会設立会

体験発表会:年輪の会・ノーチラス会役員2

講演会-1:斎藤由香さん (エッセイスト)

演題:「パパは楽しい躁うつ病」(45分)

講演会-2:絲山秋子さん (芥川賞作家)

演題:「軽くなった再発」(45分)

講演会-3:加藤忠史 (理研脳センター・精神疾患動態研究チーム・チームリーダー)

演題:「双極性障害診療の現状と未来」(30分)

座談会:斎藤さん、絲山さん、加藤(司会)(45分)

 

主催:年輪の会(品川区精神障害者当事者会)

ノーチラス会(双極性障害当事者会)

     NPO法人全国精神障害者団体連合会

 

後援:  品川区社会福祉協議会

 

連絡、問い合わせ:

     URL    http://nenrinnokai.blog.so-net.ne.jp/

                            http://mentaldisease.blue.coocan.jp/bipolar/

 

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