父の躁状態で家族が大変なことになっています
Q: 父は2年前、双極I型障害、躁状態の診断のもと、入院、外来治療をしました。
現在も月一回外来治療を受け、リチウムの内服はきちんとしているようです。しかし今回再び躁状態 となり、母や姉を振り回しています。躁状態が周囲を如何に苦しめるのか、についての自覚が平時から乏しく、躁状態の徴候に対する母などの指摘に対してもいつも一方的かつ攻撃的に反駁し、結局今回のように再び躁状態にいたってしまいました。
根本的な問題は bipolarそのもの、そしてその周囲に及ぼす影響に対する自覚のなさ、そして家人などの他者から指摘されても決して耳を傾けようとしないことだろうと思います。交流分析でいうところの I am okay, you are not okay が他者に対する基本姿勢でしょう。人格障害もあるのでしょうか? 私自身いくどとなく指摘しようとしたのですが、「そんなことはわかっている。大丈夫だ」の一点張りで結局聞く耳すらもってもらえませんでした。双極性障害そのものはリチウムなどの気分安定薬である程度コントロールできますが、やはり平時からの本人からの自覚が健全な社会的な生活には不可欠だと私自身強く痛感しております。
このような中、彼は家族からの信頼も完全に失い、私の実家も崩壊しかかっています。幸い 躁状態も峠をこえたようですので、今週中に私のほうから本人の自覚を促すように諭し、さらに誓約書にサインさせようかと思います。(夫婦で気分チェック表をつけさせる、家人から躁状態を指摘された際には反駁することなく医療機関を速やかに受診する、家人が本人の了承なしに彼の主治医にコンタクトをとることを認める、交流分析や認知療法などを通じて自己に対する内省に努める、など)
しかし私自身本件の当事者の一人であり、かなり感情的にもなっているので私自身がここまですべきであるのか、そもそもこのようなアプローチが適切であるのか、についてもわかりません。さらにこれが引き金になってうつ状態になることも十分考えられると思います。またさらに躁うつ患者の家族に対するサポートにどのようなものがあるのかもわかりませんので、もし何かあればお教えいただければ幸いです。
A: 躁状態が再発したとのこと、大変残念です。
お父様の場合、確かに、性格的にはおっしゃるような部分があるのでしょうが、躁状態でさえなければ、それほど問題にはならなかっただろうし、その意味で、人格障害、という訳ではないと思います。躁になると、元々の性格がより強く現れますので、性格の問題が気になると思うのですが…。
躁状態の症状への理解と自覚については、確かに十分ではないのだろうと思いますが、実際には服薬をきちんとされていたのですから、症状を理解していたら今回の事態が防げただろうか、と考えると、そうとも言えません。
やはり、対策としては、今回リチウムを飲んでおられたのに再発したと言うことで、もう少し他の薬、バルプロ酸やカルバマゼピンを併用する、ということが必要と思います。
ご家族から、おっしゃるような誓約書にサインしてもらうことは有効だと思います。ただし、完全に気分が落ち着いてからが良いと思います。躁状態の時に言うと、反発を招くだけで、全く受け入れてくれるとは思えません。また、出来れば第3者、すなわち主治医を交えた形で話をするのが良いと思います。
今回の事態により、ご家族の皆様が感じたストレスや怒りのやり場については、お父様の再発予防の問題とは、全く別の問題です。家族会のような場で、同じような経験をされた方々と体験を話し合う、といったことが有効ではないでしょうか。平たく言えば、直接本人に怒りをぶつけると、余計に状況を複雑化し、本人の症状が遷延したりするので、他でグチをこぼした方が(お互いのために)良い、ということです。