躁うつ病の父を強制入院させてしまいました…

ホームページをご覧になった方からお手紙をいただきました。

お父さんを強制入院させなければならなかったAさんの苦しみが切々と伝わってきましたので、承諾を得て掲載させていただくことにしました。 

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 Aと申します。ホームページを拝見しました。

 今日、67歳の父親を強制入院させました。我々子供(既婚男2)は別居しており、父親は母親と二人暮らしです。可哀想でしたが、毎日一緒にいる母親が心身共に限界に達しており、計画的にだまし討ちで実行したものです。医師の診断は、我々の判断と同様「入院治療が必要」ということで、我々家族の同意のもと、子供のように大声でいやがる父親を病院関係者とともに押さえつけ、注射を打って眠らせました。この情けなさ、つらさは生涯忘れないものになるでしょう。私たちをここまで育ててくれた親を暴力で無力化させたのです。父親は押さえつけられているとき、私たち息子二人に、「覚えとけ!」と叫びました。だだっ子のようなあの顔が忘れられません。押さえつけたその場に母親はいませんでしたが、眠ってしまった父親を見て、気丈な母親が泣いていました。

 父親は若い頃から躁うつ病で、私はそれを10年ほど前に母親に知らされました。そのときはまだ会社に勤めておりましたが、ひどい躁状態で、社内でも社外の取引先でも派手に立ち回りました。酒が飲めないのに、スタンドをハシゴし、毎晩帰ってくるのは1時か2時でした。言動が激しく母親も参ってしまい、会社の人と病院へ連れて行き、その場で入院させたことがあります。そのときは私は関わっておらず、弟がそれを実行しました。1ヶ月ほど入院したでしょうか。退院後は元通りになり、普通の生活をしていました。きっと、苦しいうつの時もあったのでしょう。その5年後だったでしょうか。また躁転し、そのときは母親がクリニックへの通院を勧め、父親の母の説得もあり薬を飲んでくれたため、入院をすることなく治癒しました。

 そして今回です。8月いっぱいで退職することとなり、それが近づくに従って躁転を始めました。父親の言動、行動は10年前以上にひどいものでした。母親への不満、我々子供への不満、会社時代に仕打ちにあった数々への不満、生い立ちへの不満等を私たちに休みなく大声でまくし立てます。自分の真実を知れと言うのです。なぜ昔のことをこれほどまで覚えているのか?驚くほどの記憶力です。これには仰天しました。とにかく寂しいのです。言動の奥底にはそれが感じられました。

 とにかく声が大きいのです。常にしゃべっています。常に自分本位で、思いやりのある話ができません。頭をよぎったことが何のフィルターもかけられず、そのまま口から出るといった感じです。父親の話を遮ると激しく怒ります。まるで子供に戻ったような状態です。言動、行動がおかしいと責めるとこれは演技だと言うのです。演技なら静かにしゃべってみろというとそれもできますが、感情を害するとすぐにまた元に戻ってしまいます。

 母親から呼ばれて父親と会ったときの驚きは悪夢のようでした。我々身内の者を敵と呼ぶのです。自分のことを理解していない、心が通っていないと言うのです。自分のことをナメているとも言います。この家はすべて自分のものだ、すべて自分の自由にすると言い、実印を隠してしまいました。母親とは熟年離婚すると言い、離婚届を区役所からもらってきていました。

 10年前と共通の異常な行動として、まず書くこと。会話の内容を記録に残すのだと言い、とにかく何でも紙に書くのです。何月何日何時に誰が何を言ったか、そんなことどうでもいいじゃないかと言うと激しく怒ります。携帯用のテープレコーダも買って録音もしていました。第2に写真をやたらと撮ります。それも話をしているところを何度も同じものを撮ります。これももったいないじゃないかと言うと怒ります。第3に金遣いが荒いことです。飲めもしないのに毎日のようにスタンドへ行きます。店の人たちは商売ですからチヤホヤしてくれます。それをよいことに大盤振る舞いをやるのです。大声を出して電話をしたり、他の人と喧嘩をしたり、いやらしいことをしたり自分がコントロールできていません。店に迷惑をかけていることは明白です。

 父親は体に悪いところがありません。すこぶる元気なのです。腰が痛いと言っていましたが、気力で直ってしまったそうです。しかし、休みなく動き回っているために体重が激減し、やせ細り頬がこけて眼鏡が大きく見えます。車を運転するので、このまま放っておくと事故を起こしかねません。自分だけならいいが、もし相手があったら大変なことになります。

 今回の父親の発病以来、躁うつ病に関するホームページを興味深く見ていましたが、加藤先生のページが印象に残ったのでメールした次第です。

 今、ストレスによる精神病が激増していると聞きます。私の勤める会社の中にもうつ病で通院している人はたくさんいます。如何にストレスを解消するか、それが大切なんですね。私は、脳天気と呼ばれるくらいで、躁うつ病とは無縁です(と思っています)。しかし、今日の出来事は衝撃的でした。うつになっちゃうかも...

 父親が治ってからは、寂しさを感じさせないよう親子のコミュニケーションを十分とるように努力していきたいと思います。しかし、父親の退院後が少し不安です。「覚えとけ!」と言ったことの報復が待っているのでしょうか? 母親も不安がっています。今回、強制入院させたことは間違っていたのでしょうか? 少し後悔しています。

 私たちは決して父親を憎んでいません。あれは病気なのです。このまま放っておけば一般社会に対して申し訳ないので一時的にそれを断ち切ることにしたのです。ありふれた平穏な暮らしがしたいだけなのです。

 乱文失礼いたしました。

 

Aさんへ− 

 お父さんを無理矢理取り押さえて入院させなければならなかったことは本当に苦しかったと思います。はっきり精神科へ入院させると宣言して取り押さえたのであれば、お父さんは後で恨むことは無いと思います。今回は難しかったようですが、お父さんより上の立場の、家族以外の方(社長とか、地域の有力者など)から指示してもらうのが効果的なこともあります。とにかくお疲れさまでした。お父さんが早く良くなることをお祈りしております。

 

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