自走車の活用



今回、搬送システムの連動としては初の自走車を使った搬送システムを構築しました。
目的は導線確保、他部署への検体移送、更新対策です。
設置区間は、採血室マ仕分けライン(2台)、仕分けラインマ生化ライン、生化ラインマ用手法検査室間の計4台
を使用し自走車を走行させている。また運用が長時間のバッチにならないよう各自走車の使用目的によって
運用スケジュールを設定している。自走車を採血室と連動させた最大の理由は検体放置時間の解消であった。
つまり、採血室から検体が届かなければどんなに早く処理できる装置を導入しても無意味であり
検体の入り口までいかに早く検体を運ぶかが、今回のテーマであった。
第1世代のLASでは人的な搬送であったたね、どうしてもこの部分は欠点であった。
今回は自走車を使用する事により、バッチ的運用にはなるが、絶対に決まった間隔で検体を運べるため、
この欠点を克服したと考える。


更新対策
 システムの拡張を行う場合や離れた場所にもLASを設置でき、その間を自走車に検体を運ばせれば
検体放置等の問題が無くなり、スペースの問題も解決できる。また、それぞれの施設に則したレイアウトが
比較的容易となり、場合によってはそれ以降の段階的な拡張も可能となる。更新もその部分だけの入れ替えが
容易であり、検体の受け渡し部分だけを考慮すれば良い。結果報告の迅速化のためには検体放置時間は
極力無くさねばならない。そのためにも各動線を自走車でつなげば放置時間は縮小できるはずである。
また動線確保のためには各LASメーカーが、高架式や床下式を開発しているが、費用の問題やレイアウトの自由度、
拡張性等、今後を考えた場合、自走車の導入は有効である。


「操作性および拡張性」
走行にはホストコンピューターからの指令ではなく、床に貼った磁器テープと本体の磁石を利用して走行する。
磁器テープと自走車は非接触型なので摩耗はまったく皆無である。移動経路の変更はこのテープの張り替えだけ
で行えるため将来の拡張性も確保されている。
充電は検体の搬入搬出時に自動で行われる。また1台が故障した場合、他の部署の自走車を代用する事により
容易にバックアップが可能としている。


「安全対策」
音やパトライトにより走行の認識をさせ走行する。また、前後にあるバンパーが障害物を発見したり、
横方向からの障害が発生すると非常停止する。障害物により走行経路を逸脱した場合、人が磁器テープ上に
自走車を戻し、再スタートボタンを押す事により再開が可能である。


「まとめ」
搬送システムの従来の欠点であった導線の確保ができ、狭い通路も通れるため、部屋ごとにラインを構築し
自走者でつなぐ事によりトータルシステムとしての増設が可能である。バッチ的な動きになるが一定時間で
往復させる事により、確実に検体移送ができ、検体放置時間を減らす事ができるため、迅速報告にも有用であると
思われる。また、システムの更新に際しても部分的な入れ替えが行いやすいよう設計した。