搬送システム入れ替えにおける諸問題

【はじめに】
搬送システムを導入した病院では検査の効率化、迅速化、省力化が達成され、
施設の機能として十分活用されていると思われるが、反面、機械であるため、必ず老朽化に
よる更新が必要であり、検査部内の限られたスペースでの入れ替えは深刻な問題である。
当院においては、平成4年より約8年間稼働していた総合検体検査搬送システム
(以下LASとする)の老朽化および新病棟稼働による検体の増加に対応すべく、
第2世代のLAS(東芝・ids社)へと更新した。今回は当院における更新時の諸問題および、
注意した点について報告する。

【第二世代LAS接続機器】
採血管準備システム:PREP-LAX (長瀬産業/シグマ精機)
尿一般ライン:アトラス (バイエルメディカル)、H6800 (日立)、H7170 (日立)
生化学ライン:H7600-120 (2台)(日立)、AIA21 (東ソー)、ARCHITECT i 2000 (DAINABOT)
血液ライン:GEN'S(3台) (コールター)、CLA-120S (2台)、(コールター)、HEG-120NAS (オムロン)、
   R3500 (Sysmex)
凝固ライン:コアグレックス800 (2台)(国際試薬)
血糖ライン:HLC723GHbV(3台)(東ソー)GA03U(2台)(A&T)
仕分けライン:自走車との接続

【更新時諸注意事項】
@ルーチンを停止しない。
A採血や採尿など患者スペースもあるため、日中に騒音の出る工事はしない。
B分析装置が稼働中はノイズを発生させるような工事関連機器は使用しない。
C電気および水道はルーチン中は停止させない。

【更新作業工程】
@採血管準備システム及び採血管トレイ自動搬送システムと尿一般ラインは
搬送システムが無かった部門なので、問題なく稼働できた。
A生化学ライン稼働:当院検体検査部門はワンフロアー化されており、LAS未接続の場所も残っていたため、
初めにその場所の機器を移動し、空間を確保し設備工事を行ない、新生化学ラインおよび分析装置を
設置後本稼働させた。
B血液ライン稼働:新生化学ラインが稼働したため、旧生化学ラインを撤去後、設備関連工事を行い、
その場所に血液ラインを設置稼働した。
C血糖、凝固、仕分けライン稼働:新血液ラインが稼働したため、旧血液ラインを撤去後、
設備関連工事を行い血糖、凝固、仕分けラインを設置稼働した。また、仕分けラインが稼働したため、
採血システムとの接続に自走車も稼働を開始し全ラインが完成した。
以上の工程を経て、半年かかっての入れ替え作業であった。

【入れ替え時のポイント】
@ホストコンピューターに2系統のシステムの接続が可能であった事
ALAS接続分析装置が搬送接続とは関係なく、単独でオンラインでの運用が可能であった事
B検査室内に新生化学ラインを設置できるスペースが確保できた事。
Cユニットの入れ替えが可能だった事、つまり、ユニットがA,B,C,Dの順で接続していたとすると、
A,Dを接続し、B,Cは撤去しての運用が可能だった事である、これにより入院検体の自動発番や
到着確認作業が自動で行えたので現場の混乱は大幅に減らす事ができた。

【まとめ】
当院における、更新過程を報告した、搬送システム自体が巨大であるがゆえの欠点でもあり、
搬送を導入した施設には必ずやってくる問題である。また単に入れ替えの問題だけでなく、
次回の更新対策を考慮したシステム構成や、設置するための諸工事もかなりの日数を要する事を念頭に入れ、
余裕を持った工期が必要である。


スライドです。
当院では分析装置、搬送システムの老朽化、および新病棟稼働による検体の増加に対応すべく、
第2世代の搬送システムへと更新しました。
今回は当院における更新時の諸問題および、注意点について報告します。

スライド1
  • 更新時諸注意事項
    更新時の制約および注意事項を示しました。
    @ ルーチンを停止しない。
    A患者スペースもあるので日中に騒音の出る工事はしない。
    B 分析装置が稼働中は電気的なノイズを発生させるような工事関連機器は使用しない。
    C 電気および水道はルーチン中は停止させない。
    といった、制約のもとに更新を行い、実際の工事は夜間及び休日の作業となりました。

    スライド2
  • 第一世代の搬送システムの全景
    こちらが第一世代の搬送システムの全景と検体検査部門のフロア図です。
    生化学、血液、血糖凝固、仕分けのラインで構成されていました。
    柱と柱の間は8m、検体検査フロアは約1000平米です

    スライド3
  • 採血管準備システムと尿一般ラインを稼働
    はじめに、第一世代のラインはそのままに採血管準備システムと尿一般ラインを稼働させました。
    この部分は搬送システムのなかった部分なので比較的容易に設置可能でした。
    この時より、検査部ホストへは新ラインと旧ラインの2つのサブシステムの接続を行いました。
    新旧どちらのサブシステムからも結果送信が可能となっております。
      
    スライド4
  • 新生化学ラインを設置
    当院検体検査部門はワンフロアー化されており、搬送未接続の場所も残っていたため、
    今回はその場所を利用しての更新を行いました。この部分・・・・・新生化学ラインを設置すべく、
    機器、机その他を移動し、電気、給排水といった設備工事を行ない、分析装置および
    新生化学ラインを設置し、装置の検討、ライン、システムの接続テスト
    その他を行い新生化学ラインを稼働させました。生化学ラインを設置するにあたり、
    血糖凝固ラインは新生化学ラインの設置部とクロスしてしまうため、血糖凝固はラインのみ
    撤去し分析装置単体での運用としました。
    この時、分析装置はラインを切り離しても運用が可能であった事が更新をスムーズに進ませる
    要因となりました。
    更新やラインのダウンを考慮すると、ラインとは無関係に運用が可能な、外部サンプリング機構で、
    装置内部にラックサンプラーのある分析装置との接続が推奨されます。
    また、外来検体の自動受付機能を残すべく、仕分けラインの一部を残し、凝固ラインの
    搬出ユニットを後に接続し運用しました。・・・・・idsラインでは8年以上前より、
    このようなユニットの付け替えが可能な規格化されたシステムを提供しており、
    更新も現場の混乱を極力無くす事ができました。

    スライド5
  • 血液、凝固の各ラインを設置
     新生化学ラインが稼働したため、旧生化学、仕分け、ヘモグロビンA1cラインの撤去を行い、
    設備関連工事を行い、その場所に血液、凝固の各ラインを設置、稼働しました。
    電気、給排水、床の補修などで設備工事は2週間かかりました。
      
    スライド6
  • 全ラインが完成
     新血液ラインが稼働したため、旧血液ラインを撤去後、設備関連工事を行い、血糖、仕分けラインを
    設置、稼働しました。
    また、仕分けラインが稼働したため、自走車を・・・・・
    稼働を開始し、全ラインが完成しました。
    生化学の外来検体は仕分けラインから血糖ラインのバイパスを通り自走車に乗り
    生化学ラインまで到着します、その間、約6分ですが、採血後すぐの搬入なため、
    検体凝固までにはさらに数分ラインで待機させております。
      
    スライド7
  • 更新による利点について
    以上のような工程により、約半年かかっての入れ替え作業でした。
    また、ラインは4つのブロックに分けてあるため、・・・・・部分的に更新が容易となりました。
    分散したシステムではありますが、自走車で接続する事により自由なレイアウトが可能であり、一つの
    システムとしての管理も可能です。
    占有床面積は第一世代、72.7、第2世代は75.6と若干大きくなりましたが、尿一般、採血のシステムが
    加わり、さらに処理能力は約1.5倍となっていますので大幅な小型化に搬送ラインは成功しています。
    しかし、未に巨大な分析装置が存在するため分析装置の小型化が行われなければシステムとしての
    小型化には限界があると思われます。
      
    スライド8
  • 小型化について
    では、実際にはどれくらいの小型化が行われたかですが、ライン幅は往復ラインで300ミリから
    140ミリと60%の小型化に成功しています。また遠心器を例にとると約40%の小型化に
    成功しています。
      
    スライド9  
  • まとめ
    まとめとしまして
    @ホストコンピューターに新、旧の2系統のサブシステムの接続が可能であった事
    A分析装置が搬送接続とは関係なく、ラインと切り離しても単独でオンライン運用が可能であった事
    B検査室内に新生化学ラインを設置できるスペースが確保できた事。
    また、装置は設置後すぐに稼働はできず、分析装置の検討、
    システム接続テスト、ランニングテストが必要となってくるため、
    更新には入念なスケジュール作製が必要です。単に入れ替えの問題だけでなく、
    次回の更新対策を考慮したシステム構成やレイアウト、撤去や設置するための諸工事も
    かなりの日数を要する事を念頭に入れ更新を行いました。