この研究会は医療社会学のさらなる通常科学化を目指しています。
 ここで「通常科学化」というタームで考えているのは,次のようなことです。「医療社会学」(「健康と病気の社会学」,「保健医療社会学」「健康(の)社会学」と呼ばれることもあります)は,「社会学」というディシプリン(学問)の中の一専攻領域であり,その意味で,「医療社会学」は,サブ・ディシプリンというべきものですが,その専攻領域の「研究者」がある程度いて,そのような「研究者」を採用するポストがある程度あって,そのポストに就いた「研究者」が,その職務として,研究,教育(研究者養成を含めて),社会的貢献などの活動をさかんに行っている,という状態が「通常科学」であり,そのような状態に近づいて行くことが「通常科学化」です。
 この意味での「通常科学化」は,「医療社会学」のような専攻領域の場合,2つの競争の中で達成されなければなりません。ひとつには,社会学の中の他の専攻領域との競争があり,もうひとつには,研究対象である医療の世界のディシプリンや,医療を対象とする社会学以外のディシプリンとの競争があります。研究会の基本的な認識は,「医療社会学」は,日本においては,こうした競争に勝ち抜いて,「通常科学」と呼べるようなものにいまだなっていない,というものです。
 医療社会学研究会としては,このような意味での「医療社会学」の「通常科学化」に何らかの貢献を行っていきたいと考えていますが,会の形態としては,研究・教育機関や学会のようなフォーマルで,かつ集団としてそのメンバーシップが明確なものではなく,定期・不定期に集まる研究会や,本の出版といったマスメディアや,メーリングリストやホームページなどのインターネットメディアなどの複数のメディアを通じて,「医療社会学」の研究者や研究者をめざしている人,「医療社会学」の研究成果の利用者,何か利用できるものがとかありそうだと感じている人がネットワークとしてつながっているものを考えています。また,会の活動内容としては,医療社会学の研究,教育,社会貢献の向上に資するようなものを考えています。