特別講演
「客観的筋力測定実施による理学療法の変化」
高知リハビリテーション学院
山崎 裕司
理学療法の対象者の方に「あとどれくらい力がつけば歩けますか」、担当医師に「どのくらいの期間で力がつきますか」などと聞かれたことは無いでしょうか。私は妥当な答えをする自信がありません。講演では、このような現場でのやりとりに対して、「少しでも妥当で、納得できる説明ができるように」と私が取り組んできた客観的筋力測定の実践を紹介します。
新たな客観的筋力測定方法を考案しなければならなかったのは、徒手筋力検査やこれまでの筋力測定装置が持つ限界のためです。しかし、客観的筋力測定やその研究を継続できたのは、その実践がもたらしてくれる多くの強化刺激によるものです。何よりも、対象者の筋力トレーニングに取り組む表情が変わります。意欲的にトレーニングする結果、筋力増強効果が変わります。筋力測定によって筋力と動作能力の関連が明確になってくると、動作とバランス能力の関連がそこから見えてきます。このような知識は、動作を教える専門家である理学療法士の提言力を増します。筋力値が医師のカルテに転記され、カンファレンスの説明で用いられます。地域高齢者、慢性内科疾患を有する高齢患者の筋力水準の低さを発見し、その問題を様々な場面で提言します。
客観的な筋力測定の実施は、多くの理学療法士にこれまでとは違った臨床場面を提供してくれるはずです。一人でも多くの参加者の方に役立てるよう準備を進めています。当日は、よろしくお願いします。
司会 在宅総合ケアーセンター近森 川渕 正敬
シンポジウム
学会第2日目 12月3日(日)9:30〜11:20 <第一会場>
「学術活動と呼吸理学療法の変化」
1. 慢性呼吸不全患者に対する腹式呼吸と呼吸筋トレーニング
長崎大学医学部・歯学部付属病院 神津 玲
腹式呼吸と呼吸筋トレーニングはそれぞれ約50年、30年の歴史を有する呼吸リハビリテーションの伝統的な手段である。
わが国における従来の呼吸リハビリテーションでは、残存する呼吸機能、特に換気能力をいかに高めるかということに主眼が置かれていた時代があり、演者も含め理学療法士はこぞって肺機能の改善を試みた。腹式呼吸と呼吸筋トレーニングは胸郭可動域練習とならんで、その主要な手段に位置づけられていたものと思われる。
しかし現在、腹式呼吸には換気能力を改善する効果は期待できないことが判明しており、臨床症状に対するインパクトについても確立された見解はない。呼吸筋トレーニングについては、適切に行うことで呼吸筋力と耐久力を増大させるが、その有効性は限られた範囲のものであることが示されている。今ここで換気機能の改善を目指す意義とこれらの手技がその役割を果たしてきたかについて注意深く見直すことは、今後のアプローチのあり方を考える上で必要であると考える。
本シンポジウムでは、いくつかの臨床研究に基づいたこれらの手段の検証をもとに、その変遷と今日的意義について考察、報告する予定である。
2.胸部外科手術前後における呼吸理学療法
群馬県立心臓血管センター 高橋 哲也
近年の外科手術の進歩は目を見張るものがあり、可能な限りの低侵襲外科手術が実施されている。また、少量フェンタネストの使用や早期人工呼吸器離脱などの周術期管理の進歩によって、早期離床も極一般的となった。そのような進歩を目の当たりにしながら、手術前後の呼吸理学療法はどのように順応してきたであろうか?周辺環境の進歩が著しいので、少なくとも今から10年以上前の臨床データはエビデンスやガイドラインの根拠としての使用は適切ではない。外科手術後の呼吸器合併症予防のために長い間伝統的に使用されてきたインセンティブスパイロメトリは、最近のシステマティックレビューでもその効果は否定的である。一方、対象者の年齢や人種、体組成、手術後の理学療法などが異なる欧米のデータをそのまま受け入れることは注意を要する。シンポジウムでは自験例を交えながら、胸部外科手術前後における呼吸理学療法の変化と展望について触れてみたい。
3. 運動療法とコンプライアンス
聖マリアンナ医科大学病院 横山 仁志
慢性呼吸不全のリハビリテーションプログラムの中でも持久性トレーニングや筋力トレーニングは、多くのエビデンス研究によってその有効性が証明されている。しかし、実際の臨床現場では、労作時の呼吸困難感、疲労感の強い患者にトレーニングを処方した場合、運動拒否やコンプライアンスの低下を経験することが多い。
エビデンスにもとづく治療方法は、それが最善の形で適用されることを前提としてその効果が示されている。当然のことながら、その適用や継続に制限がある場合、十分な治療効果は期待できない。すなわち、治療効果を最大にするためには、有効なトレーニングをどのようにして対象者に適応させ、継続させるかという視点が必要不可欠である。
本シンポジウムでは、慢性呼吸不全患者に対する運動療法、特に筋力トレーニングを取り上げ、その必要性や効果、運動療法へのコンプライアンスを高める方法について、私自身の研究と臨床活動を踏まえて提言する。
司会 高知リハビリテーション学院 山崎 裕司
一 般 演 題
学会第1日目 12月2日(土)<第一会場>
成人中枢T 13:40 〜 14:20
座長 石川病院 横内 俊弘
1.
身体を認識させる試み
−坐位獲得のための前段階アプローチ−
愛宕病院分院 榎本 晃久
2.
座位姿勢での体幹の垂直性に関する研究
愛宕病院 宮村 和典
3.
Pusher現象を呈する例の体幹傾斜時における自覚症状について
高松市民病院 稲田 光範
4.
脳卒中片麻痺患者の自画像描画からみる身体認識
愛宕病院 岡林 真
成人中枢U 14:20 〜 15:10
座長 高知医療学院 鶴埜 益巳
5.
脳血管障害患者における院内歩行自立に影響を及ぼす要因の解析
−麻痺側下肢荷重率を用いた歩行自立度の判別−
厚生年金高知リハビリテーション病院 吉村 晋
6.
脳血管障害片麻痺患者の階段昇り動作自立度を判別する要因
−市販体重計を用いた麻痺側下肢荷重率の有用性−
厚生年金高知リハビリテーション病院 明崎 禎輝
7.
在宅で生活する脳血管障害患者の転倒予防に関する臨床研究
−入院中の麻痺側片脚立位時間を用いた転倒予測−
厚生年金高知リハビリテーション病院 吉本 好延
8.
脳血管障害患者の排泄行動獲得に向けたアプローチ
−転倒自己効力感の向上を目的とした理学療法介入効果−
厚生年金高知リハビリテーション病院 濱岡 克伺
9.
軸索型GBSにおける長期的な動作能力の回復過程について
美須賀病院 岡部 晃弘
成人中枢V 15:10 〜 15:50
座長 橋本病院 鶯 春夫
10. 到達運動における小脳の運動学習効果の検討
−視覚性誤差信号入力の有無に着目して−
高知大学医学部附属病院 榎 勇人
11. 錯視図形は視覚・体性感覚情報で修正することが可能か
愛宕病院 松下 侑史
12. 言語性記憶と非言語性記憶に関する研究
−意味表象の有無という視点から−
愛宕病院 亀谷 真吾
13. 脳卒中片麻痺患者の共感覚
愛宕病院 日岡 明美
骨・関節T 15:50 〜 16:40
座長 四国リハビリテーション学院 清川 敏郎
14. 簡易動画解析ソフトを用いた足部テーピングの効果判定
横浜病院 廣戸 優尊
15. 肩甲骨の使い方と、ステップ時の足位置の指導で、投球障害肩が改善した一症例
市立八幡浜総合病院 河野 孝春
16. 人工股関節置換術術後症例に対する上り勾配トレッドミルトレーニングが
歩行中の股関節伸展角度に及ぼす影響 −シングルケースデザインによる検討−
高知大学医学部附属病院 芥川 知彰
17. 関節リウマチの頚椎病変に対する徒手療法
道後温泉病院 島原 範芳
18. 神経筋調整療法施行による疼痛及び可動域の変化について
山本整形外科 多賀 一浩
学会第1日目 12月2日(土) <第二会場>
循環器 13:40 〜 14:20
座長 近森病院 前田 秀博
19. 当院で加療を行った心不全患者の調査
−肺炎を誘因とした患者に着目して−
近森病院 竹崎智香子
20. 心不全に対する包括的心臓リハビリテーションの実際
−心不全リハビリテーションクリティカルパスの作成−
KKR高松病院 宮崎慎二郎
21. 急性大動脈解離における早期リハビリテーションプログラムの使用経験
近森病院 谷 真木
22. 上肢リンパ浮腫に対する複合的理学療法の効果
リムズ徳島クリニック 上田 亨
呼吸器 14:20 〜 15:10
座長 細木病院 藤本 弘昭
23. 姿勢が呼吸機能に及ぼす影響について(第2報)
放射線第一病院 谷口 千明
24. 脳血管障害片麻痺患者における呼吸機能と身体機能、ADLとの関係
愛宕病院 笹岡 愛加
25. 胸腹部外科術後における肺機能・咳嗽能力の推移
高知大学医学部附属病院 川満由紀子
26. 理学療法施行中に肺血栓塞栓症を発症した2症例について
香川県立中央病院 管原 崇
27. 気管切開によりQOLが改善した1症例
喜多医師会立内山病院 萩森 康孝
小児 15:10 〜 15:50
座長 かがわ総合リハビリテーションセンター 澤田 善之
28. 猫なき症候群の療育者への告知直後からの理学療法介入
−療育者の育児に対する自信不足調査から−
高知大学医学部附属病院 水迫りさ子
29. 早産児の敏活さと視覚・聴覚刺激反応からみた療育指導への指針
−ブラゼルトン新生児行動評価からの検討−
高知大学医学部附属病院 細田 里南
30. 幼児期から学童期までの遅発性筋痛(DOMS)発生率の変化
土佐リハビリテーションカレッジ 岡部 孝生
高齢者 15:50 〜 16:40
座長 福角病院 田頭 勝之
31. 高齢透析患者における身体活動量向上を目的とした運動療法効果
−透析日の運動参加を促進する応用行動分析学的アプローチ−
厚生年金高知リハビリテーション病院 中田 裕士
32. 高齢者マシーントレーニングの負荷設定における応用行動分析学的介入
介護老人福祉施設 水明荘 大西 康平
33. 敏捷性機能の加齢的変化過程の検討
土佐リハビリテーションカレッジ 宮本 謙三
34. 高齢者の日常生活活動と心身機能との関連
土佐リハビリテーションカレッジ 滝本 幸治
35. 当法人における転倒アセスメント指標の検討
−FIM、BBSデータからの分析−
鳴門山上病院 開野 正嗣
学会第2日目 12月3日(日) <第一会場>
その他 12:30 〜 13:00
座長 健康保険鳴門病院 柳澤 幸夫
36. 足踏み式室内運動器による全身運動の強度とエネルギー消費量に関する有効性の検討
土佐リハビリテーションカレッジ 宅間 豊
37. 関節可動域の目測能力
−理学療法学科学生における検討−
高知リハビリテーション学院 重島 晃史
38. 開頭術後患者における急性期の栄養状態調査
近森病院 高芝 潤
生活支援 13:00 〜 13:30
座長 高知リハビリテーション学院 栗山 裕司
39. 高齢者の運動習慣化を目的とした介護予防事業の試み
細木病院 宮崎 良祐
40. 介護老人保健施設わたつみ苑における介護者の介護負担度とその因子について
三豊総合病院組合 介護老人保健施設わたつみ苑 大森 貴允
41. 当院における脳卒中患者の復職状況
近森リハビリテーション病院 佐々木誓子
骨・関節U 13:40 〜 14:20
座長 海里マリン病院 宮内 博雄
42. 足関節果部骨折の臨床成績に影響を与える因子の検討
三豊総合病院 津川 義弘
43. 大腿骨転子部骨折におけるカットアウトに関する検討
−TADを中心として−
三豊総合病院 仲渡 和正
44. 橈骨遠位端粉砕骨折における機能予後に関連する因子の検討
−単純X線画像からの情報を中心に−
三豊総合病院 松永 徹也
45. 外来RA患者の家屋環境の現状調査
−関節保護に対する正しい理解を深めるために−
田窪リウマチ・整形外科 阿部 敏彦
骨・関節V 14:20 〜 15:10
座長 黒潮医療専門学校 富田 豊
46. Quadriceps setting の筋力増強効果
−PTによる徒手抵抗と自主訓練との効果比較−
放射線第一病院 森川 真也
47. 自転車エルゴメーター駆動訓練の効果
−股関節疾患術後患者での検討−
細木病院 野口 耕造
48. バランスディスクエクササイズの即時的効果
高知大学医学部附属病院 中尾 聡志
49. データベースによるセルフトレーニング指導システムの開発
愛媛県立中央病院 門田 詩織
学会第2日目 12月3日(日) <第二会場>
教育・環境 12:30 〜 13:00
座長 小松島リハビリテーションクリニック 狩野 伸一朗
50. 実習生のリスク管理能力と作業能率向上を目指して
−主観的な睡眠日誌と客観的なアクティグラフの分析から−
鳴門山上病院 竜田 庸平
51. 急性期病院における腰痛実態調査
−看護師と事務職員の比較を中心に−
愛媛県立中央病院 木口 大輔
52. 大腿骨転子部骨折患者の診療報酬改訂に伴う退院時機能の変化
高知県立安芸病院 津野 良一
運動・神経・生理T 13:00 〜 13:30
座長 香川大学医学部附属病院 山田 英司
53. 運動負荷による筋疲労が片脚立位での重心動揺に及ぼす影響
香川大学医学部附属病院 藤岡 修司
54. 視標追従における漸増・漸減運動の筋出力調節課題の特性
土佐リハビリテーションカレッジ 竹林 秀晃
55. 重量識別課題により自己の内的基準は変化するか
愛宕病院 藤原友香里
運動・神経・生理U 13:40 〜 14:20
座長 穴吹リハビリテーションカレッジ 青戸 啓二
56. イメージ想起が立位姿勢調節に及ぼす影響
愛宕病院 西村 聡二
57. 心的歩行時間と実際歩行時間の誤差は脳損傷及び加齢変化により増加する
愛宕病院 森垣 浩一
58. 実際の立ち上がり動作とイメージ上の立ち上がり動作の誤差に関する研究
愛宕病院 澤本 幸子
59. 「速い動作」と「ゆっくりとした動作」の主観性の違いについて
−健常人と失調症患者との比較−
愛宕病院 道田 周明
運動・神経・生理V 14:20 〜 15:10
座長 愛媛大学医学部附属病院 渡辺 幸喜
60. C-Leg を装着した大腿切断者の歩行速度変化における健側下肢の筋活動と歩幅の検討
香川大学医学部附属病院 森田 伸
61. 悪性軟部腫瘍による大腿四頭筋全摘出患者の歩行時筋活動について
香川大学医学部附属病院 伊藤 康弘
62. 内側広筋及び外側広筋の筋活動動態は歩行中の脛骨運動に関与しない
高知大学医学部附属病院 西上 智彦
63. 滑車運動における下肢筋活動分析
香川大学医学部附属病院 内田 茂博
64. 大脳皮質刺激におけるMEP潜時の検討(第2報)
三豊総合病院 高井 一志