脳室上衣下腫・上衣下腫 subependymoma について

  1. 良性の腫瘍で,たまたまCTとかMRIで見つかってしまうものです
  2. 小さい子どもから老人まで全ての年代でみるかることがあります
  3. 脳室という脳の中の部屋の壁にできます
  4. 第4脳室と側脳室にみつかります
  5. とてもゆっくり大きくなるか,もしくは全く大きくなりません
  6. 多くの場合,大きさはは2cmを越えません
  7. それより大きなものはまず上衣腫中枢性神経細胞腫を考えます
  8. 症状を出すのはとてもまれでおとなしいかわいい腫瘍です
  9. 症状を出すのは中高年の男性に多いです
  10. 症状は,モンロー孔か第4脳室が腫瘍で詰まることによって水頭症が生じるために出ます
  11. 閉塞性水頭症と言います
  12. 頭痛ですが慢性のものもひどくなって嘔吐するタイプもあります
  13. 腫瘍内出血で急激に高度の頭痛になるものもあるのですが,そんなのはすごくまれです
  14. 急変することはないので,腫瘍が大きくなってもあわててはいけません
  15. 水頭症になっていると言われても慌てないようにしましょう
  16. 症状があるものや経過を見ていて確実に大きくなってくるものは開頭手術で摘出します
  17. 手術でとれば治ってしまう良性腫瘍です
  18. でも,脳室内腫瘍なので手術は難しいと考えなければなりません
  19. 側脳室のものの手術は経脳梁法でなく,経皮質法でします
  20. 第4脳室のものは床の脳幹部とのところは残して部分摘出にすることが多いです
  21. 上衣下腫は脳にベッタリくっつくので,脳幹背部の損傷や,脳弓・前交連の損傷が生じると重篤な手術後遺症が残ります

よくみつかる典型的な例です


中年男性に偶然発見された15mmくらいの上衣下腫です。側脳室前角の壁にピッタリくっつくようにキノコのように生えています。下の2枚はガドリニウム造影ですが増強されないのが特徴です。この点で中枢性神経細胞腫 central neurocytomaと区別できます。中枢性神経細胞腫はゆっくりですが大きくなる腫瘍です。でもこのような上衣下腫は大きくなるのはとてもまれです。小さいし水頭症にもならないので,なにもしないでほっておきます。間違っても開頭手術などしません。


上衣系腫瘍 ependymal tumors のWHO分類 ( 2007年)

Subependymoma (WHO grade I)
Myxopapillary ependymoma (WHO grade I)
Ependymomas (cellular, papillary, clear cell, tanycytic) (WHO grade II)
Anaplastic ependymoma (WHO grade III)

subependymomaは WHO grade Iとされる極めて良性の腫瘍であり,過誤腫 hamartomaに近いものである。slowly growing tumorと表現されるが実際には増大しないものも多い。MIB-1は1%以下である。
病理所見では,腫瘍細胞核がclusterを作って集蔟するのが特徴的な像である。無核野には豊富な線維性基質がありmicrocystic changeがみられる。
境界明瞭な結節性腫瘍であり,まれに腫瘍内小出血や石灰化が認められる。


巨大な上衣下腫 giant subependymoma というものはあるか?

3 cmを越え,部分的にガドリニウム増強される大きな上衣下腫の報告が散見される。しかし,この様な例のほとんどが neoplasm with a mixed ependymoma and subependymomaと呼ばれるものであることに留意すべきである。この様な腫瘍は,上衣下腫 subependymomaではなく,上衣腫 ependymoma (WHO grades II-III)の臨床経過をたどる。従って,巨大な上衣下腫と病理診断されたら悪性腫瘍としての対処,治療選択が必要となる。


久保田佳奈子の症例と病理教室
上衣下腫 subependymoma

無症状で偶然発見された47歳女性の側脳室内上衣下腫



無症候で偶然発見された左側脳室前角尾状核頭に接したsubependymoma。定位脳生検で病理診断を得たが,3年間の観察で徐々に増大した。左上が発見時,1年後(右上),2年後(左下),3年後(右下)

CTではやや低吸収,T1ガドリニウムでは低信号となりガドリニウム増強されない。小さな上衣下腫の場合は等吸収あるいは等信号のものも多い。小さく点状に造影されている部分があるがこれは定位脳手術痕(track)である。

左中前頭回からの経皮室法 left middle frontal gyrus transcortical approach で全摘出できた(右図)。

20x: 小型、円形の核を有する腫瘍細胞が集簇する密な部分と、グリア線維基質
が多く腫瘍細胞の核が少ない疎な部分が見られ、微小嚢胞変性も伴う


40x: 腫瘍細胞の核は円形で、核異型は乏しく、単調で、核分裂像は見られない
(MIB-1 indexは1%未満)


GFAP: 腫瘍細胞細胞質、線維性基質いずれも陽性

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