血管外皮腫(血管周皮細胞腫,血管外皮細胞腫,血管周皮腫)hemangiopericytomaについて
- 日本語訳にはいろいろあり混乱があるようで,英語でhemangniopericytomaヘマンジオペリサイトーマと呼ばれることが多いです
- 脳腫瘍の0.4%くらでめずらしい腫瘍です
- 画像などは髄膜腫ととても似ていますので,手術の前は髄膜腫と診断されることが多いです
- 男性に少し頻度が高くて,髄膜腫より少し若い成人に発生します
- でも小児にもできます
- 硬膜(脳の膜)から発生します
- 頭蓋骨にもくっつくことが多くて,骨の中に骨を壊しながらしみ込むように発育(浸潤)することもあります
- 悪性腫瘍と考えた方がいいです
- グレード2とグレード3がありますが,グレード3は癌(肉腫)と同じです
- 手術でかなり徹底的に摘出しないと同じ場所から高率に再発します
- 血管が多く入っているので,手術の時には出血が多い腫瘍です
- 頭から全身に転移することもめずらしくはありません
- 手術後に定位放射線治療,できれば放射線外科治療を加えた方がいいのかもしれません
WHO分類 (2007年)
Grade II :hemangiopericytoma
Grade III : anaplastic hemangiopericytoma
高い分裂能 (at least 5 mitoses per 10 HPF)と壊死像,それに加えて,出血,中等度から高い核異型と細胞密度の内の2つがあれば,anaplastic hemangiopericytomaと診断する。
ちょっと専門的な知識
- かつてはangioblastic meningiomaの亜型と考えられていた
- 全身に発生するものとの区別として頭蓋内のものは,meningeal hemangiopericytomaと呼ばれる
- 硬膜のどこにも発生するが後頭部の静脈洞近辺の頻度が高い,脊髄硬膜は10%弱である
- 髄膜腫に反して,画像上も病理像でも石灰化をみることはほとんどない
- 周囲の骨は肥厚せずに破壊像を伴い浸潤する,腫瘍自体は境界明瞭なmassとして描出される
- 造影剤で均一に増強され,周囲脳浮腫は高度であることが多く,脳実質内へも浸潤する
- 病理像では,単調な組織構造を示し,髄膜腫より高い細胞密度と特有の血管構築 (staghorn vasculature, slit-like vascular channels)がみられる
- 壊死像はgrade IIIの特徴である
- MIB-1の平均的な値は10%程度に達し,増殖速度が早く,全摘後の再発までの期間も髄膜腫よりかなり短い
- 免疫組織染色では,vimentin, factor XIIIa, Leu-7 (CD34)の陽性率が高い
- 組織学的に鑑別するべき腫瘍は,solitary fibrous tumorである
- 摘出後の再発率に関しては,長期観察では明らかに半数を超えると考えた方がよい
- 全身転移も珍しいことではない
文献
Soyuer S, et al.: Intracranial hemangiopericytoma: the role of radiotherapy: report of 29 cases and review of the literature. Cancer 100: 1491-1497, 2004
この29例の報告では,10年生存割合は68%,しかし16例が頭蓋外転移している。gross total resectionでは5年局所制御率は 84%,subtotal resectinでは38%であった。また,術後補助療法としての放射線治療の効果は有意なものとはいえなかったとしている。しかし結論として,局所制御率と遠隔転移の多さから,とにかくgross total resectionを目指すことと局所放射線治療を加えることを勧めている。
Sheehan J, et al.: Radiosurgery for treatment of recurrent intracranial hemangiopericytomas. Neurosurgery 51: 905-910, 2002
14例の再発hemangiopericytomaに平均線量で15Gyの放射線外科治療がされた。観察期間中央値21ヶ月で,11例(79%)で局所制御が可能であった。 80%で明らかな腫瘍縮小が認められた。29%(14例中の4例)で遠隔転移が生じているので,局所放射線外科治療は転移抑制には明らかな効果はないかもしれない。
