創周囲洗浄後の時間経過における創部及び創周囲部の細菌叢の変化

○ 紺家千津子、真田弘美、北山幸枝、田端恵子
石川伸二**、冨樫博靖**、田村成**

金沢大学医学部保健学科、医療法人社団浅の川 千木病院、**花王渇サ学品研究所

【目的】
本邦と米国のガイドラインでは、褥瘡部の洗浄には生理食塩水にて十分に洗うと明記されている。しかし、私たちは先行研究より生理食塩水の洗浄前に皮膚洗浄剤にて健常部と同様に創周囲部を洗浄する方法が、創周囲の汚れ成分と創部細菌数より望ましいケア方法であるという結果を得た。そこで、より効果的な洗浄間隔を明らかにする目的で、創周囲洗浄後の時間経過における創部及び創周囲部の細菌叢の変化について検討した。

【方法】
対象は、療養型医療施設に入院中の患者5名の褥瘡5部位であった。褥瘡はNPUAP分類III度以上の肉芽形成期以降の状態で、仙骨部2部位、大転子部2部位、坐骨結節部1部位であった。患者は、男性3名、女性2名、年齢は55〜84歳であった。患者および家族から研究参加の承諾を得た。方法は、弱酸性の皮膚洗浄剤を使用する前、直後、6時間後、24時間後の創部と創周囲部から菌を採取し、細菌培養を行った。そして、洗浄後の各時間における菌種ごとの菌数を洗浄前と比較した。

【結果】
洗浄前に創部から16菌株(7菌種)、創周囲部から15菌株(7菌種)が検出された。すべて起炎菌となりうる菌種であった。洗浄6時間後、創部からさらに1菌株が検出された。検出された菌のうち最も多かった菌種は、創部、創周囲部共にStaphylococcus aureus(MRSA含む)、次いでA群β‐Streptococcusであった。洗浄後の各時間における菌数が洗浄前より減少した菌株は、創部では17中洗浄直後12(70.6%)、6時間後14(82.4%)、24時間後8(47.1%)であった。創周囲部では15中、洗浄直後15(100.0%)、6時間後12(80.0%)、24時間後9(60.0%)であった。

【考察・まとめ】
洗浄後1日では約半数の菌株において菌数が洗浄前と比較し増加していた。したがって、創周囲部の洗浄間隔としては1日1回は皮膚洗浄剤を用いて洗浄することが妥当であると考える。ただし、創周囲皮膚に損傷を与えない洗浄剤の選択が今後の課題である。


トピックスに戻る