1.褥瘡管理のすすめかたの実際 2)褥瘡発生予測方法 |
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【概説】
- 褥瘡発生予測方法として、スケールを使うと良い。
- 褥瘡発生予測スケールは数種類ありますが、ブレーデンスケールまたはK式スケール、OHスケールの他、スケールではありませんが、様式5にある褥瘡要因があります。
- ブレーデンスケール(Braden Scale)は、
- 妥当性、信頼性が検討されている。
- ケア可能な6項目から構成されていてよい。
- 採点の結果がケアに直結する。
ブレーデンスケール 
【ブレーデンスケール使用方法の説明】
項目の説明
- 知覚の認知:圧迫による不快感に対して適当に反応できるかどうかをみる項目です。
- 湿潤:皮膚が湿度にさらされる頻度をみる項目です。
- 活動性:行動範囲を示し、圧迫が取り除かれる時間をみるだけではなく、うごくこことにより血流の回復をはかることをみる項目です。
- 可動性:体位をかえる能力を示し、骨突起部の圧迫を取り除くために位置を変える力と本人の動機も含んでいます。
- 栄養:普段の食摂取状態をカロリーと蛋白の摂取量でみる項目です。
- 摩擦とずれ:摩擦とずれは同時に起こるので、1つの項目とします。
【ブレーデンスケール使用時の注意点】
- 採点開始時は、日中のほとんどをベッドで過ごすようになった時です。ねたきりの状態、つまり可動性、活動性が2点以下になったら開始します。
- 採点頻度は急性期は48時間ごと、慢性期は2週間ごとです。高齢者は最初の4週間は毎週、その後は3か月に1回採点します。
- 注意点は皮膚の観察を毎日することです。
- 危険点は病院では14点、施設では17点です。
【ブレーデンスケールに関する文献】
- Braden,B.J.,zbergstrom,N.:Clonical utility of the Braden Scale for predicting pressur sore risk,Decubitus,2(3):44-51,1989.
- 真田弘美監修:褥創発生のリスクアセスメント,月間ナースデータ Vol.16 No14 臨時増刊号,日総研,1995.
- 真田弘美,美濃良夫,大串小夜子編:ナース必携褥瘡ケア用品ガイド,エキスパートナース 11月臨時増刊号 Vol.12 No.13 ,1996.
- 真田弘美:日本語版Braden Scaleの信頼性と妥当性の検討,金大医短紀要,15:101-105, 1991.
K式スケール(金大式褥瘡発生予測尺度)記入方法 
スケールの採点の対象
何らかの理由により、床上生活を余儀なくされている患者すべてです。また、完全な床上生活でなくても、24時間のなかで床を離れる時間が圧倒的に短い場合も含まれます。
調査間隔:スケール採点時から基本的に1週間毎に行います
- 前段階要因は、スケール採点開始時から以後2週間毎、状態が大きく変化しない高齢者では、1ヶ月毎の間隔で採点します。
- 急性期等で状態の変化が著しい場合は、その状態に応じて48時間毎(あくまで目安)に採点します。
採点方法
- 前段階要因と、引き金要因の2段階方式で当てはまる項目にチェックします。当てはまれば1点、当てはまらなければ0点となります。
- 前段階要因と引き金要因の得点を合計します。
■前段階要因:対象が普段からもっている要因のことをさします
自力体位変換不可 骨突出 栄養状態悪い という項目が当てはまります。
- 各項目の下に書かれている具体的内容にひとつでも当てはまれば、
〔 〕にチェック=1点です。ただし、2つ当てはまっていても2点とはなりません。
ポイント
骨突出 という要因の有無を判断する際
- まず、体圧を測定します。40mmHg以上で1点となります。(セロを使用した場合です)
- 体圧が測定できない状況であれば、さらにその下に書かれている内容で判断します。
栄養状態悪い という要因の有無を判断する際
- まず、Alb、またはTPで判断します。
- Alb、またはTPが測定できないときは、腸骨突出度を測定します。40mm以下で1点となります。(イリアックスケールを使用すると簡便です)
- これらのいずれも測定ができない状況であれば、さらにその下に書かれている内容で判断します。
- 前段階要因は0〜3点の得点域があります。
■引き金要因:前回採点した時から(1週間以内に)変化が生じていた(加わった)項目のことをさします。
体圧 湿潤 ずれ という項目が当てはまります。
ポイント
- いずれの項目も、事象の開始 にポイントがあります。
- 各々の項目にその内容を示しているので、当てはまれば〔 〕チェックし、1点となります。
- 前段階要因と同様、2つ当てはまっていても2点とはなりません。
- 引き金要因も0〜3点の得点域があります。
※急性期(ICUや術後)の患者は前段階要因がない場合、また同時におこる場合、が考えられます。
※前段階が1つでもyes=1点以上であれば褥瘡発生リスクありと考えられ、引き金要因が新たに加わった場合、その1週間以内に発生する可能性があります。
文献
1.大桑麻由美他:K式スケールの信頼性と妥当性の検討‐高齢者を対象として‐.日本褥瘡学会誌.3(1):7-13.2001.
2.真田弘美他:褥瘡発生予測試作スケールの信頼性と妥当性の検討.日本創傷・オストミー・失禁ケア研究会誌,2(1):11-18.1998.
OHスケール 
平成10年から3年間にわたる厚生労働省長寿科学総合研究班(大浦武彦 班長)による調査を基に作成されたスケールである。データは急性期病院、長期療養施設、在宅から収集され、単変量解析・多変量解析の統計処理により褥瘡危険要因が検出された。これをもとに作成した大浦式スケールをさらに新しくしたスケールである。
危険要因とそのスコア
(1)自力体位変換
「できる」・「できない」これ以外の「どちらでもない」に分類する。「できる」0点、「どちらでもない」1.5点「できない」3点に配分されている。「できない」原因には麻痺。意識状態の低下、安静などがあるが原因の如何を問わず自力で体位変換がどれだけできるかを評価する。
(2)病的骨突出
「なし」・「軽度・中等度」・「高度」の3つに分類する。それぞれ0・1.5・3点に配分されている。骨突出とは仙骨部中央から8cm離れたところでの高低差があるかを仰臥位時に仙骨部の頂点が両臀筋と同じ高さかあるいは突出している状態を指し、その程度を簡易メジャーで判断することも可能である。
(3)浮腫
「なし」・「あり」の2つに分類する。0・3点に配分されている。浮腫とは下腿前面頸骨部・足背など褥瘡部以外の場所で、指の圧痕が残る状態をさす。
(4)関節拘縮
「なし」・「あり」の2つに分類する。0・1点に配分されている。関節拘縮とは四肢の関節可動制限があることである。
OHスコアによる患者のレベル分け
- 上記の危険要因を採点し、その合計点により患者を4段階に分類している。偶発性褥瘡は危険要因なし0点で、起因性褥瘡は、軽度8(1〜3点)・中等度(4〜6点)・高度レベル(7〜10点)に分類されている。
- 意識状態と病的骨突出は0、1.5、3点の3段階評価、浮腫と関節拘縮は2段階で評価し、それぞれ0、3点と0、1点であり、合計点でランク付けする。軽度は0〜3点、中等度は4〜6点、高度は7〜10点と識別する。
OHスコアによる褥瘡発症確率
- OHスコアによる褥瘡発症確率は、軽度レベルで約25%以下、中等度レベルで約26から65%、高度レベルでは約66%以上とされており、全ての危険因子を重症の状態でもつ場合は、91%とされ、たとえ治癒しても再発しやすい状態であると述べている。
文献
1.大浦武彦,菅原啓,天野冨士子ほか: 看護計画を立てる際の褥瘡危険要因(大浦・堀田スケール)の用い方の実際と評価−定山渓病院,トヨタ記念病院の実際と評価−,Expert Nurse、20(4):128−137,2004. から参照
褥瘡対策に関する診療計画書(厚労省 別紙様式5) 
厚生労働省危険因子評価とは、褥瘡対策に関する診療計画書(別紙様式5)に含まれており、患者の日常生活自立度を判定し、自立度の低い患者について診療計画を作成し褥瘡対策を立てるために必要な評価リストである。この評価は6項目あり、「できる・できない」「あり」「なし」の2者択一方式となっている。スケールとして用いるのではなく、危険因子が1つ以上「できない」または「あり」の場合、それに対して看護計画を立案する指針となる。
危険因子の項目の定義
(1)基本的動作能力
ベッド上とイス上で患者をアセスメントする。ベッド上では自力体位変換ができるか、イス上では坐位姿勢の保持ができるか・除圧ができるかを確認する。自力体位変換とは自力で体の向きを変えることを指す。本人の意思を問うものではなく、実際にできているか否かを評価する。坐位姿勢の保持とは、特に姿勢が崩れたりせず座ることができることを指す。座位時の除圧とは、自分で姿勢を変えることができることを指す。イス上の評価は、イス(車いすなど)に座ることがある場合に実施する。
(2)病的骨突出
病的骨突出とは、仙骨部の場合、両臀部の高さが同じまたは突出している状態を指す。骨突出度計や体圧計を使用して判断することもできる。
(3)関節拘縮
関節拘縮とは四肢の関節可動域に制限があることを指す。屈曲・伸展拘縮や変形などをいう。
(4)栄養状態低下
栄養低下とは褥瘡発生を予防するための栄養が適切に供給されていないことを指し、アルブミンを指標とするとされている。3.0から3.5g/dlを掲示しているが、血液検査がない場合に判断ができない。今後体重減少や喫食率等で今後検討予定である。
(5)皮膚湿潤
皮膚湿潤とは汗・尿・便による湿潤をさす。多汗による皮膚湿潤とは、多量の汗をかくこと、尿失禁による皮膚湿潤とは、臀部皮膚が尿で濡れていること、そして便失禁による皮膚湿潤とは、便が臀部皮膚についている時間があることを指す。上記のどれかひとつでも該当すれば、皮膚湿潤ありとなる。
(6)浮腫
浮腫とは、褥瘡局所以外の部分で皮下組織内に組織間液が異常に貯留した状態を指し、下腿前面頚骨部、足背、あるいは背部で確認することができる。
文献
1,日本褥瘡学会編:褥瘡対策の指針,照林社,2002. から参照
