会長挨拶
熊本大学大学院生命科学研究部呼吸器病態学 教授
興梠 博次
この度、第65回日本呼吸器学会・日本結核病学会九州支部秋季学術講演会を平成22年11月12日、13日の二日間にわたり開催させていただくことになりました。歴史と伝統ある本学会の秋季学術講演会会長に皆様からご指名いただきましたことに心より感謝申し上げます。
日本呼吸器学会九州支部会会則の第2条に、本会の目的が、「本会は九州地方における、呼吸器病学とその診療に関する進歩と発展ならびに普及を図り、地方自治体や患者団体とも連携し、国民の健康に貢献することを目的とする。」と記載されています。今回の学術講演会も、この会則に従い、国民の健康とりわけ呼吸器疾患を中心にした健康に貢献するための企画・実行が必要になります。
これまで、日本の医学の歴史において数回の大きな変革がありました。それらは、1)明治維新、2)第二次世界大戦後の医学教育改革、3)国民皆保険制度導入、4)インターン制度廃止(研修医制度)、5)新研修医制度、等があり、今日、民主党政権に完全な移行がなされ、政治が安定すれば、次の新しい変革がおこるでしょう。これらの変遷の中で、医学は大きな進歩を遂げ、呼吸器領域では、1930年代までの肺結核と急性肺炎を主な疾患とする時代から、アレルギー性疾患、悪性腫瘍、肺血管障害、間質性肺炎、膠原病、多様な感染症、原因不明の疾患が加わって現在に至っています。これらの疾患の医療情報はインターネットを介してオープンとなり社会からの医療への要求はとめどなく大きくなっています。したがって、呼吸器内科医には、幅広い知識と医療技術、深い考察力が求められています。そして、新研修医制度が取り入れられ医師不足となっています。その結果、私達は、大きな負担を背負って努力を継続している現状です。
これらの事象を背景に、本学術講演会において、医学生、研修医、若手医師に対して呼吸器内科診療における魅力を伝え、興味を引き出し、社会的重要性を伝達し、情熱と希望を与える必要があると考えます。今回は、特別講演に、日本呼吸器学会の理事長である永井厚志先生にご講演をお願いし、シンポジウムでは、1)「ガイドライン・マススタディの功罪」のタイトルで、ガイドラインを最大限に使いこなすために落とし穴も知り抜いて診療する能力を伝える企画、2)「呼吸器疾患研究の最前線:ARDS、抗がん剤の薬物動態、肺移植、感染症」を設計しています。また、ワークショップでは、「呼吸器疾患の診療連携」を企画しました。肺癌と呼吸不全を中心に診療連携における呼吸器内科医が果たすべき役割について、連携に関与するスタッフによって現状の解析と将来像を展望していただきます。また、教育セミナーでは、「呼吸器救急疾患および人工呼吸」を企画しています。その他、ランチョン/イブニングセミナーでは、喘息、肺癌、呼吸器感染症の最前線についての講演を企画中です。「肺の日」市民公開講座では、「呼吸器疾患の予防と治療」と題して、喫煙やアレルギー等の環境からの刺激と呼吸器疾患(喘息、COPD、肺癌等)の紹介を致します。
会場の熊本市民会館(崇城大学市民ホール)は、熊本市の中心にあり、高速バス、市内バス、路面電車でのアクセスは最も良く、さらに、熊本城に接しています。熊本城は築城400年を記念して再建され、その土木建築と芸術性が再度高く評価されています。是非、皆様には、若手医師、研修医、学生をも連れて、ご参加いただき、活発な意見の交換をお願い申し上げますとともに、熊本を楽しんでいただけましたら幸いです。

