第44回日本呼吸器学会九州地方会一般演題抄録

演題番号: B24

胸痛にて発症した原因不明の肋間動脈破裂の1症例

社会保険小倉記念病院内科
○田浦裕輔、金子弘文、山崎 裕、加藤達治


 症例は66歳の男性。陳旧性肺結核の既往あり。突然の激烈な左胸部痛にて来院した。胸部X線写真上、左肺野全体の浸潤陰影を認めた。膿胸の疑いにて入院となった。胸部造影CTにて、左肺底部に径11×7×16cm大の半球状のfluid collectionが見られた。胸壁から造影剤の漏出が見られたことから、そのfluid collectionは肋間動脈の破裂による血腫であろうと考えた。動脈造影にて左第8肋間動脈の末梢に仮性動脈瘤を認め、この部位よりの出血と考えた。動脈瘤の近位側よりgelformを用いて塞栓し、さらにらせん型microcoilを用いてcoilingした。施行後の造影では、塞栓部位より末梢及び仮性動脈瘤は造影されず、治療は成功したと考えた。胸腔ドレーンを挿入し洗浄を行った。その内容物は凝血塊であり、菌の発育は認めず、細胞診では悪性の細胞は認められなかった。
 外傷による肋間動脈破裂はよく経験されることだが、原因不明の肋間動脈破裂により血腫を形成する症例は報告がほとんどないため報告する。

受付番号:S002


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