第44回日本呼吸器学会九州地方会一般演題抄録
演題番号: C11
多発性薄壁空洞を呈した肺原発性腺癌の一例福岡大学筑紫病院二内科
○森田正勝、有冨貴道、加来良夫
坂口三保、二宮 寛、佐々木 悠
症例は71歳男性。20年前某癌センターにて胃癌の診断の元にBillroth II法による胃切除術を受け、定期的検査で再発転移はなかった。平成8年12月頃より、胸焼け、嘔気を自覚し近医受診。胃内視鏡検査でびらん性潰瘍を認め、胸部X線上、両肺野に多発性腫瘤状陰影を認め、肺野の内科的精査を勧められ当科入院となった。当初は胸部X線、CT上両側肺に多発性薄壁空洞を認め、非定型抗酸菌症や真菌症が疑われたが、入院時咳嗽、喀痰なく、喀痰中菌陰性であった。喀痰細胞診にてPapanicolaou IIIbを認め、腫瘍マーカーでCIFRAが5.9ng/mlと上昇していた為、気管支鏡施行するも確定診断は得られず、外科的肺生検を施行した。右S8部の切除病理組織により腺癌と診断された。stage IV期で治療は化学療法を行ったが、反応に乏しく気胸を併発し死亡した。本例は胃癌は完全に切除され術後20年間経過しており原発性肺癌と考えられた。 肺癌に伴う多発薄壁空洞の報告は少なく、また空洞形成機序を考える上でも興味深い症例と考え報告する。 |
受付番号:S001