第44回日本呼吸器学会九州地方会一般演題抄録

演題番号: C18

肺癌診断におけるDynamic CTの有用性の検討

国立病院九州がんセンター呼吸器部
○麻生博史、牛島千衣、北島正親、福山康朗、
 山口正史、照屋孝夫、一瀬幸人
同放射線部
 藪内英剛


[目的] 肺野腫瘤影やリンパ節の内部情報を Dynamic CT (DCT) を用いて解析し、その診断やリンパ節転移の鑑別に応用できないかを検討した。
[対象] 肺野病変の検討は DCT 後に確定診断がついた症例とし、リンパ節転移の検討は肺癌症例で術前に DCT を行い、術後に転移の有無を確定できた症例とした。
[方法] 肺野病変は造影剤注入前と後30秒、60秒、90秒、120秒に、リンパ節は注入前と後1分、5分に scan した。CT 値の測定は肺野腫瘤では ROI AR 48.2、リンパ節では 20.1に固定して測定した。
[結果] 肺野病変は22例(肺癌18例、肺炎2例、結核1例、肺膿瘍1例)であった。CT値は前/30/60/90/120秒で肺癌では 38/46/64/61/61、非癌では 42/53/68/72/75 (HU)であり、有意な差を認めなかった。リンパ節は23例(腺癌12例、扁平上皮癌10例、小細胞癌1例)の計46個(転移有19個、転移無27個)を検討した。CT値(造影前/1分/5分)は、転移有で 42/80/76、転移無は 36/62/56であり、転移有は無と比べて 1分、5分で有意な上昇が認められた。
[結語] DCTは、肺野腫瘤影の診断で肺癌と炎症性疾患の鑑別には有用性を認めなかったが、肺癌症例のリンパ節転移の鑑別には有用である可能性が示唆された。

受付番号:P080


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