第44回日本呼吸器学会九州地方会一般演題抄録

演題番号: D06

移動性皮下腫瘤を伴ったウェステルマン肺吸虫症の一例

国立療養所南福岡病院
○野上裕子、野田啓史、岩永知秋、池田東吾
 庄司俊輔、西間三馨


 症例は45歳男性。平成8年11月に生カニ摂取。平成9年2月中旬、感冒様症状と微熱を主訴に2月24日当院受診、レントゲンで少量の右胸水と、末梢血好酸球増多を認めた。病歴より肺吸虫症を疑い、プラジカンテル1200mg/日を二日間投与。以後外来で管理した。レントゲンで胸水の増加を認め、3月25日、6月17日、8月26日にプラジカンテル同量を追加投与している。また8月12日受診時左上腹部に腫瘤を認めたが、26日には腫瘤の大きさが縮小したため放置された。以後受診中断。平成11年11月中旬より37-38℃の発熱が続き咳と胸痛が出現し、11月24日再び当院を受診。レントゲンで右大量胸水と末梢血好酸球の増多を認め、炎症反応陽性であったため、入院となった。胸水ドレナージと胸膜生検を施行。また左下腹部から鼠径にかけて皮下の腫瘤を触知し、生検した。胸水は好酸球増多を呈したが虫卵、虫体は認めなかった。胸膜、皮下の生検も非特異的炎症所見であった。臨床経過より肺吸虫症を考え、プラジカンテル3000mg/日(20mg/kg×2)を3日間投与、血清の免疫電気泳動の結果、ウェステルマン肺吸虫症と診断された。

受付番号:P077


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