第44回日本呼吸器学会九州地方会一般演題抄録

演題番号: B08

両側上葉に蜂窩肺を形成し亜急性に進行した上葉優位な肺線維症の1例

大分市医師会立アルメイダ病院呼吸器内科
○甲原芳範、雨宮由明、三重野龍彦
西田厚徳病院 増田 満
大分医科大学第二内科 那須 勝


 症例は72歳、男性。主訴は呼吸困難。既往歴に特記すべき事はない。20歳台にシベリアで粉塵の吸入歴がある。喫煙歴なし。弟が肺線維症、塵肺で亡くなっている(詳細不明)。現病歴は、平成9年6月の住民検診では特に異常を指摘されず。平成9年の10月頃から体動時の息切れを自覚し、他院にて間質性肺炎として経過観察されていたが、徐々に進行したため平成11年2月22日精査、加療目的に当院に入院した。身長160cm、体重47 kgと痩せ型で、両下肺野に湿性ラ音を聴取した。抗核抗体が80倍、KL-6が1000U/mlと高値であった。TBLBで胞隔炎を認め、BALFは好中球が25.4%と増加していた。抗酸菌は認めなかった。3月8日よりPSL 40mg/日を開始したが、有意な改善は認められなかった。その後難治性の両側気胸を合併し、また両下肺にも蜂窩肺の進行が認められている。
 本症例は特発性上葉限局型肺線維症の臨床像に合致する点が多かったが、明らかな蜂窩肺の形成が認めた点が異なっており、興味がもたれた。

受付番号:P076


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