第44回日本呼吸器学会九州地方会一般演題抄録
演題番号: D10
高度の意識障害を伴った肺レジオネラ症の一例沖縄県立中部病院
◯柳 秀高、喜舎場朝雄、大滝美浩、
松本 強、宮城征四郎
症例は45才男性。とび職。主訴は発熱、頭痛。既往歴に特記事項なし。生活歴は現喫煙、一日60本を30年。飲酒はビールを一日4-5本。現病歴は一週間前から悪寒戦慄を伴う発熱、湿性咳嗽、労作時呼吸苦、頭痛が出現し、徐々に増悪するため当院受診。来院時のバイタルサインは血圧 120/78、脈拍 140、呼吸数 48、体温 38.1度。意識はグラスゴーコーマスケールで E4V5M6。肺の聴診上右下肺野に気管音、低調の連続性雑音を聴取し、胸部レントゲン写真で右中下肺野に浸潤影を認めた。喀痰のグラム染色では微生物を認めず。検査所見では、炎症反応著名高値、低ナトリウム血症、肝機能異常、横紋筋融解症、高度の低酸素血症を認めた。以上より非定型肺炎の中でもレジオネラ症を疑い、EM 4g/日の経静脈投与を行った。ただし重症であり、通常の市中肺炎もカバーするため CTXも併用したが、肝機能障害のため RFPは用いなかった。意識障害は入院後急速に進行し、入院翌日にはほとんど問いかけに返答せず、E3V2M4程度であった。レジオネラ尿中抗原検査を琉球大学第一内科に依頼したところ、翌日には陽性とのとのお返事を頂き、CTXは中止とした。意識障害はその翌日には著名に改善し、酸素化能、レントゲン所見、肝機能、筋酵素なども徐々に改善した。後日痰培養検査でもレジオネラ陽性との報告を頂いた。 急速に高度の意識障害に陥り、速やかな治療により劇的に改善した症例であり、若干の文献的考察も含め報告する。 |
受付番号:P069