第44回日本呼吸器学会九州地方会一般演題抄録

演題番号: B23

大腿骨頚部骨折後に発症した脂肪塞栓症候群の一例

沖縄県立八重山病院
○玉城 仁


 長管骨骨折に伴う脂肪塞栓症候群(骨折後72時間以内の呼吸機能の悪化、血小板低下,精神症状の悪化)は,比較的稀でその患者の 0.5 ~ 2.0 % といわれる。今回,臨床経過,画像所見等より脂肪塞栓症候群と診断した症例を経験した。
 症例は生来健康な82歳,女性。来院 4,5日前より上気道炎を思わせる症状があった 。来院当日、自宅にて転倒,左大腿骨頚部骨折をし当院整形外科入院となった。入院時は呼吸状態は安定していたが,骨折から40時間後より低酸素血症(リザーバーマスク O2 9 l/min),せん妄状態となり,血液検査上血小板減少を呈し,胸写ではびまん性スリガラス上陰影を認めた。鑑別診断としてウイルス性肺炎,急性間質性肺炎等も考えられたが,臨床経過,胸部CT所見等より脂肪塞栓症候群と診断し,ステロイド剤は投与せず経過観察したところ自然軽快していった。CT所見は脂肪塞栓症の補助診断に有用であった。
 本疾患に関する文献的考察もあわせて報告する。

受付番号:P068


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