第44回日本呼吸器学会九州地方会一般演題抄録

演題番号: C24

HTLV-1 associated myelopathy(HAM)に合併した閉塞性細気管支炎の一例

鹿児島大学医学部第3内科
○永井智子、是枝快泉、西垂水和隆、
 是枝快房、渡辺 修、榮樂信隆、城之園学、
 橋口照人、川畑政治、納 光弘
同第2外科 渡辺俊一、下川新二
国療東京病院病理 蛇沢 晶


 症例は67歳女性。慢性副鼻腔炎及び慢性咳嗽により4年前副鼻腔気管支症候群として7ヶ月間クラリスロマイシンによる加療で症状軽快。3年前より排尿障害、歩行障害を自覚。1999年11月緩徐進行性の痙性脊髄麻痺、血清、髄液のHTLV-1抗体高値よりHAMと診断。末梢血には異型リンパ球が2%認められ、CD4/8比が軽度上昇していたが、CD25陽性リンパ球、可溶性IL-2Rは正常で、また末梢血リンパ球のHTLV-1 provirusのsouthern blot法による検討ではモノクローナルな増殖はなく、ATLの発症はないものと考えられた。入院時の胸部X-p、CTでは過膨脹所見、びまん性小葉中心性粒状影、気管支拡張所見が認められた。呼吸機能では閉塞性障害、寒冷凝集素256倍、HLA-B54陽性であり、臨床的にはびまん性汎細気管支炎と考えられ、確定のためVATS下肺生検を施行。病理組織学的には一部の非呼吸細気管支が破壊性に閉塞、線維化しており呼吸細気管支にはリンパ濾胞の形成は目立つものの、気道内への肉芽形成や泡沫細胞の集簇は認められず、破壊性の強い閉塞性細気管支炎(BO)と診断された。HAMに合併したBOを経験したので報告する。

受付番号:P064


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