第44回日本呼吸器学会九州地方会一般演題抄録
演題番号: C26
CTガイド下肺生検で診断し得たC-ANCA陰性のWegener肉芽腫症の一例長崎大学第二内科
◯吉岡寿麻子、石松祐二、石井 寛、
貝田英之、岩下徹二、門田淳一、河野 茂
症例は56才、男性。H10年12月より咳嗽、膿性喀痰、高熱、H11年1月頃より全身倦怠感が出現し近医受診。胸部X線にて、両側上中肺野に浸潤影および斑状影を認めたため、同医入院し、肺炎の診断で抗生剤治療行ったが悪化した。そこで、CTガイド下肺生検が施行されて、ラ氏型巨細胞と壊死を伴う類上皮細胞肉芽腫が認められた。肺結核あるいはWegener肉芽腫症(以下、WG症)が疑われた為、同年1/27及び2/10にステロイドパルスを施行し、その後プレドニン30mg/日が投与された。同時に抗結核薬も投与されたが、症状は持続する為、精査加療目的で同年3/17に当科入院となった。当科入院時には、鼻出血と尿潜血陽性、尿蛋白陽性、S-Cr 1.8、尿中β2MGの 5910と著明な上昇と腎機能障害を認めた。生検された肺組織の再検討ではラ氏型巨細胞と壊死を伴う類上皮細胞肉芽腫以外にも筋性肺動脈の血管炎の所見が認められ、また、抗酸菌検索では陰性であったことから、C-ANCAは陰性であったがWG症と診断した。抗結核薬は中止し、プレドニンを継続投与した。その後、胸部異常影、発熱等の自覚症状は徐々に改善し、プレドニンを漸減した。 症例はC-ANCA陰性であるもCTガイド下肺生検で診断し得たWegener肉芽腫症の貴重な一例と思われたので、若干の文献的な考察を含め報告する。 |
受付番号:P063