第44回日本呼吸器学会九州地方会一般演題抄録

演題番号: B15

興味深い経過を呈した鎮痛解熱薬ノーシンによる薬剤誘起性肺炎の1例

県立宮崎病院内科
○上谷幸枝、日高利昭、上田章


 今回、興味深い経過を呈した、市販の鎮痛解熱薬のノーシン(主成分アセトアミノフェン)による薬剤誘起性肺炎の1例を経験したので報告する。
 患者は45歳女性、1999年12月中旬より発熱、咳、痰、呼吸困難を認めたため19日近医を受診した。胸部X線上、両下肺野末梢優位の斑状影を認め、血液検査にてWBC 7400、CRP 46.2mg/dlであり、肺炎の診断にて同日より PIPC+MINO の点滴を開始したが、呼吸状態及び胸部X線所見は悪化し24日当科紹介転院となった。肺生検では間質性肺炎像であり、気管支洗浄液からは有意な細菌は検出されなかった。入院する2週間前より股関節痛に対しノーシンを多量服薬しており、薬剤リンパ球刺激試験を行ったところ陽性であり、薬剤誘起性肺炎と診断した。PSL 60mg/日内服より開始、自覚症状、 胸部X線上の改善がみられたため徐々にPSLを漸減していった。ところが1月18日に右下肺野に嚢胞状陰影が出現、その後、前・後縦隔にも拡大傾向を認めた。自覚症状はなく、入院後48日目に退院となり、 現在外来にて経過観察中である。

受付番号:P061


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