第44回日本呼吸器学会九州地方会一般演題抄録

演題番号: D14

急速に呼吸不全が進行し気管内出血で死亡したインフルエンザの一例

中頭病院
○宮良高維,渡嘉敷かおり,下地 勉
琉球大学医学部第一内科
 斎藤 厚


[症例] 76歳男性.
[現病歴] 平成12年1月31日より39℃の発熱があり,インフルエンザの臨床診断で近医からアマンタジンを投与されていたが,呼吸困難感が進行し,2月2日に当院に入院した.
[入院後経過] 胸部に coarse crackle を聴取.レントゲン上は淡い浸潤影を左下肺野に認め,肺炎球菌の菌血症を伴っていた.血液検査所見では WBC は 1100/μl,血小板数は 8.1万/μlと減少し,LDH が 994 IU/mlであった.入院直後から抗菌薬治療,ステロイドパルス療法を施行したにも関わらず呼吸不全は急速に進行し,入院翌日に人工呼吸管理となった.気道内分泌物中には一般細菌,真菌,カリニ原虫,封入体細胞等を認めなかったが,入院3日目に気管内に血性分泌物を多量に喀出して死亡した.死亡直後に小開胸して得た肺は出血性肺炎の病理像を示していた.気道内分泌物からは PCR で A型インフルエンザが陽性となり,抗H3N2亜型の血清抗体価は 4096倍と高値であった.
[結語] インフルエンザ感染により急速に進行する肺合併症例で出血性肺炎を来した例を経験した.

受付番号:P057


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