第44回日本呼吸器学会九州地方会一般演題抄録

演題番号: B07

上肺野優位に急速に進行した分類不能の間質性肺炎の一例

九州大学大学院医学系研究科附属胸部疾患研究施設
○内野順治、肝付兼仁、萩本直樹、川崎雅之、
 古藤 洋、桑野和善、原 信之


 症例は72歳男性。平成12年1月に当院整形外科にて急性破壊性股関節症に対して人工股関節置換術を施行された。術後2週目より喀痰の増加と末梢血の軽度の炎症所見をみとめ、胸部X線にて右上肺野に間質性陰影を認めたためミノサイクリン、セフタジジムを投与されたが効果は見られなかった。胸部CTでは両側上肺野の背側に重力依存性の混合性陰影を認めた。その後陰影は急速に拡大、呼吸不全が進行した。気管支鏡下肺生検では肺水腫の所見と間質の肥厚が見られ、血清学的にもKL-6の上昇を認めたため間質性肺炎を疑ってステロイドパルス療法を開始、以後経口プレドニゾロン 1mg/kg投与を継続し、画像所見および呼吸状態の改善を認めた。この間約10日間の人工呼吸管理を要した。各種自己抗体は陰性であった。
 本症例は画像上、間質性肺炎としては非典型的であり、現在も診断は確定していない。間質性肺炎の分類に関して、若干の文献的考察も加えて報告する。

受付番号:P055


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