第44回日本呼吸器学会九州地方会一般演題抄録

演題番号: D13

重症マイコプラズマ肺炎の1例

九州大学大学院医学系研究科附属胸部疾患研究施設
○竹山栄作、井上孝治、肝付兼仁、
 古藤 洋、川崎 雅之、原 信之


 症例は26歳女性、会社員。元来健康であったが、平成11年11月初めより咽頭痛、咳嗽、高熱が出現。近医で肺炎と診断され各種抗生剤を投与されたが低酸素血症が増悪するため紹介入院となった。画像上右肺野全体に広範な浸潤影をみとめ、急速な呼吸不全の進行のために人工呼吸管理を要した。入院当初、レジオネラ肺炎の可能性も疑い、検査と平行してエリスロマイシン・リファンピシン・シプロフロキサシンの投与を行った。その後の経過は良好で人工呼吸からは5日間で離脱、退院時には陰影はほぼ消失した。レジオネラ感染に関しては、気管支洗浄液の塗沫・培養・PCR、尿中抗原のいずれも陰性であり除外された。培養では検出できなかったが、発症時に陰性であった血清マイコプラズマ抗体価が著明に上昇したため、マイコプラズマ肺炎と診断した。
 マイコプラズマ肺炎は一般に良好な経過をとるが、呼吸不全を呈するような重症例も少なからず報告されている。若年者の重症市中肺炎の鑑別診断上、示唆に富む症例と思われるので報告する。

受付番号:P054


[戻る]