第44回日本呼吸器学会九州地方会一般演題抄録

演題番号: B19

気管炎症性ポリープの一例

九州大学大学院医学系研究科附属胸部疾患研究施設
○堀見敦子、井上博雅、三角幸広、伊勢信治、
 松葉篤治、古藤 洋、原 信之


 症例は60歳女性。肺結核の既往あり。平成8年より気管支喘息に対してベクロメタゾン 800 μg/日を含む外来治療を受けていた。経過中、胸部X線にて右中肺野に浸潤影出現を繰り返し、血痰も認めたため平成11年6月に気管支鏡を施行した。検査施行時には血痰は消失しており出血源は明らかでなかったが、気管の隆起性病変が偶然発見された。病変はポリープ状に内腔に突出、表面は平滑で白色調であった。生検の結果、リンパ球を主体とする炎症細胞浸潤が認められた。T細胞、B細胞が混在し、monoclonarityが見られないことからリンパ腫は否定的と考えられ、炎症性ポリープと診断した。2カ月後の再検では縮小傾向であったが、現在も経過観察中である。
 気道内の炎症性ポリープは比較的稀な疾患であり、成因として気道局所の慢性炎症や異物などの機械的刺激の他に、特発性のものも報告されている。少数ながら気管支喘息との合併例もみられるが、本例ではポリープ中には好酸球はほとんど認められておらず、因果関係は不明である。文献的考察も併せて報告する。

受付番号:P053


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