第44回日本呼吸器学会九州地方会一般演題抄録

演題番号: B14

セラペプターゼで発症した薬剤性肺臓炎の一例

佐世保総合病院内科
○阿部 航、山中淳子、長島聖二
 山本善裕、浅井貞宏
同病理 岩崎啓介
長崎大学医学部附属病院第二内科
 門田淳一、河野 茂


 症例は65歳の男性、既往歴に塵肺を有していた。平成12年1月半ば頃から鼻汁、咳漱が出現し、近医を受診し感冒薬を処方された。数日後から全身に皮疹が出現したが放置、服薬を続けた。次第に咳漱が増強し、呼吸困難を自覚するようになったために同年2月7日精査加療目的で当科外来を受診した。受診時に理学的所見上、fine crackleを聴取し、検査所見で WBC、CRPの上昇と低酸素血症を認めた。また胸部エックス線写真上両側性に斑状陰影の出現を認めた。以上から間質性肺炎が疑われ当科入院となった。入院後に施行した気管支肺胞洗浄並びに経気管支的肺生検の結果、organaizing pneumoniaの所見を認め、画像と合わせて BOOPと診断した。病歴から薬剤の可能性を疑い、DLSTを施行したところ、セラペプターゼが強陽性に反応したため、薬剤性 BOOPと診断した。ステロイド治療により胸部エックス線写真上異常陰影は速やかに改善した。現在も入院加療中であるが良好に経過している。
 本薬剤が薬剤性肺臓炎を惹起することは希であるが、頻用されている薬剤であるため間質性肺炎の原因を考えるときに決して見逃してはならないと思われた。

受付番号:P051


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