第44回日本呼吸器学会九州地方会一般演題抄録
演題番号: C08
carcinomatous encephalitis を呈した肺腺癌の一症例琉球大学附属病院第一内科
○當山真人,上江洲香織,宮城佳江,
仲本 敦,東 正人,中村浩明,斎藤 厚
今回我々は頭部CT, MRI などの image 検査にて診断が困難であったcarcinomatous encephalitis を呈した肺腺癌の一症例を経験したので報告する. 症例は44歳の男性.平成11年6月に近医にて胸部 X 線異常陰影を指摘されて紹介となり,精査した結果,肺癌(Adenocarcinoma, c-T2N2M1:stage IV)と診断された.CDDP + TXT 療法を2クール施行され,NC (MR) となり一時期職場復帰も可能となった.退院後は外来にて化学療法を施行していたが,同年10月中旬より不穏症状が出現した.状態はさらに悪化し,夜間の徘徊や記銘力障害,失語などを認めるようになったため,11/9に精神科に入院となった.その後歩行障害が出現して全身状態も悪化したため,12/24に当科へ転科した.その間,原疾患に対する治療は行っていなかった.12月の髄液検査では軽度の髄液圧上昇と蛋白増加がみられたが,細胞はほとんどなく,細胞診はClass 1であった.頭部CT やMRI 検査では明らかな脳転移を疑わせる所見はみられず,意識障害の原因としてウイルス性脳炎や paraneoplastic syndrome が疑われたが,関連する血清抗体は陰性であった.その後,状態の改善はみられずに平成12年2月に死亡した.剖検にて大脳,小脳,中脳,延髄などび慢性に癌細胞の浸潤が認められ,carcinomatous encephalitis と診断された. まれな疾患でもあり,文献的考察も含めて報告する. |
受付番号:P049