第44回日本呼吸器学会九州地方会一般演題抄録

演題番号: D15

慢性呼吸器疾患患者に対するインフルエンザワクチン1回接種の効果

福岡県立嘉穂病院呼吸器科
○上川路信博、高木陽一、加藤千鈴
 大串 修


[目的] 慢性呼吸器疾患患者におけるインフルエンザワクチン1回接種の効果を評価することを目的とした。
[対象と方法] 当科を定期受診している慢性呼吸器疾患患者610名を対象とし、希望者にインフルエンザワクチンを1回接種した。29名を無作為に選択し接種前後の抗体価を測定した。また、臨床効果は、接種群(n=203)と非接種群(n=407)の間で、平成11年12月16日より12年3月15日までの入院率並びに入院時のCRP値を比較し検討した。
[結果] A.ペキン、A.ホンコン、B.サントウそれぞれについて、128倍以上の抗体価を有する患者の割合は、ワクチン接種前が10%、45%、10%だったのに対し接種後は55%,86%,52%と著名な上昇を認めた。入院率は、非接種群が13%で接種群の11%と差を認めなかった。入院時CRPが4mg/dl以上の患者は、非接種群の25名(6.1%)に対し接種群で5名(2.5%)と有意に少なかった(p<0.05)。
[結論] 慢性呼吸器疾患で通院中の患者へのインフルエンザワクチン1回接種は、インフルエンザに対する抗体価を上昇させ、重症の気管支炎・肺炎を約60%減らす効果があった。

受付番号:P048


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