第44回日本呼吸器学会九州地方会一般演題抄録
演題番号: D21
胸腔鏡下胸膜生検が有用であった結核性胸膜炎の一例国立療養所川棚病院呼吸器科
○川上健司、山領 豪、池田 徹、高木明子
同外科 本庄誠司、高橋孝郎
長崎大学熱研内科
大石和徳、永武 毅
症例は74歳、女性。主訴は前胸部痛。既往歴は特記事項なし。現病歴は平成12年1月9日入浴後に前胸部痛を自覚したため、近医を受診し、狭心症として治療を受け軽快した。翌日、昼食後に再度胸痛あり、当院循環器内科を受診して不安定狭心症の診断にて入院となった。入院時、胸写にて左片側性胸水を認めた。1月14日冠動脈造影検査にてLADに75%の狭窄を認め、ステントの適応であった。胸水の原因は2回の胸水試験穿刺でも確診が得られず、胸水が増加傾向であったため、2月2日、局所麻酔下に胸腔鏡検査を施行した。胸腔内は壁側、臓側いずれの胸膜にも小粒状の隆起した病変を多数認めた。壁側胸膜から生検を施行し、乾酪壊死を伴う上皮細胞肉芽腫を認め結核性胸膜炎と診断した。INH,RFP,EBで治療した結果、胸水はほぼ消失した。2月24日、2度目の冠動脈造影を施行し冠動脈にステントを留置した。本症例では不安定狭心症があったが、酸素投与を併用しながら胸腔鏡下胸膜生検は安全に施行できた。また、喀痰や胸水の培養結果は陰性であり、診断には胸腔鏡下胸膜生検が有用であった。 |
受付番号:P046