第44回日本呼吸器学会九州地方会一般演題抄録

演題番号: D05

気管支肺胞洗浄液中IL-5が高値を示したウエステルマン肺吸虫症の1例

宮崎医科大学第3内科
○柳 重久、迎 寛、渡邊玲子、飯干宏俊
 松本 亮、平塚雄聡、松元信弘、加藤茂樹
 松倉 茂


 症例は49歳、男性。1999年7月頃より咳嗽、血痰が出現し、近医を受診。胸部X線上右下肺野の異常陰影を指摘されたため、1999年8月24日に精査目的で当科を受診。胸部CT検査では右肺中葉に胸膜と接した空洞を伴う結節影があり、周囲には散布巣を伴っていた。また、末梢血好酸球が12.0%と増加していた。喀痰および気管支肺胞洗浄液(BALF)より虫卵が検出され、免疫血清学的検査によりウエステルマン肺吸虫症と診断した。1999年10月7日よりプラジカンテル 75mg/kg/dayを3日間投与したところ血痰、咳嗽は消失した。また、1999年11月10日に施行した胸部CT写真では陰影の著明な改善を認めた。なお、プラジカンテル投与2日目に副作用と思われる嘔吐、食欲不振がみられたが、翌日には改善した。
 本症例では血清中のインターロイキン5(IL-5)値は感度以下であったが、BALF中のインターロイキン5(IL-5)値が高値を示した。このことより、ウエステルマン肺吸虫症でのBALF中および末梢血中好酸球増多には病変局所で産生されるIL-5が関与している可能性が示唆された。

受付番号:P043


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