第44回日本呼吸器学会九州地方会一般演題抄録

演題番号: C01

Hepatopulmonary症候群による慢性呼吸不全の一例

国立療養所福岡東病院呼吸器科・臨床研究部
○中野寛行、高田昇平、田尾義昭、
 宮崎正之、二宮清、相沢久道


 今回我々は、肝硬変に伴うhepatopulmonary症候群による慢性呼吸不全の一例を経験した。症例は69歳、男性。49歳より慢性C型肝炎、66歳に肝硬変症の診断を受けた。平成10年頃より労作時息切れを自覚するが、平成11年11月、発熱と呼吸苦増強のため当科に入院。入院時、ばち状指、末梢のチアノーゼ、眼球結膜及び皮膚の黄染、肝腫を認めた。5L/分の酸素吸入下でpH 7.542、PaO2 53.5 Torr、PaCO2 21.5 Torrと低酸素血症を認めた。肺機能では、VC 3.93 L(115.3%)FEV1 1.02 L(53.6%)と閉塞性障害を認めた。肝硬変症の存在よりhepatopulmonary症候群を疑い、99mTc-MAA肺血流シンチグラムを施行した結果、肺内シャント率は52.9 %と著明に増加しており、hepatopulmonary症候群による慢性呼吸不全と診断した。
 肝疾患を伴う慢性呼吸不全で、肺機能検査値が呼吸不全に一致しない場合、本症候群を鑑別する必要があり、その原因である動静脈シャントの証明として99mTc-MAA肺血流シンチグラムは有用である。

受付番号:P041


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