第44回日本呼吸器学会九州地方会一般演題抄録

演題番号: C22

呼吸困難を初発症状とした多発性筋炎の一例

鹿児島大学医学部附属病院第一内科
○吉山 武、赤崎雄一、坂木由宗、時任裕一
 寺師健二、河俣仲秋、山口昭彦、鄭 忠和
同第三内科
 中川正法


 症例は63才、男性。平成10年頃より全身倦怠感、労作時呼吸困難を自覚するも放置。平成11年8月、糖尿病の治療目的で近医に入院した際、高炭酸ガス血症を指摘、肺胞低換気症候群の診断で非侵襲的陽圧換気法(NIPPV)を開始。同年11月、肺胞低換気の精査目的で当科へ転院。
入院時、近位筋優位の筋力低下、筋原性酵素の上昇、PaCO2(61.7torr)の上昇を認めた。胸部レントゲン、胸部CTでは異常所見は認めず、肺機能検査では拘束性障害のパターンを示し、1回換気量の低下を認めた。筋電図と筋生検所見より多発性筋炎と診断。NIPPVに加えて、ステロイド療法を開始後、筋原性酵素は正常化し,呼吸困難も改善。また、1回換気量は増加、PaCO2も低下した。ステロイド治療により呼吸状態が改善したことから、今回の肺胞低換気症候群は、多発性筋炎による呼吸筋筋力低下が原因と考えられた。
 本症例のように呼吸困難を初発症状とする多発性筋炎はまれであり、文献的考察を加え報告する。

受付番号:P040


[戻る]