第44回日本呼吸器学会九州地方会一般演題抄録

演題番号: C13

肺癌化学療法中に発生したナベルビン性血管炎の2例

社会保険田川病院呼吸器内科
○藤木 玲、今村友子、川山智隆
久留米大学第一内科
 大泉耕太郎


 ナベルビン(VNR)は高齢者非小細胞肺癌に対して有用とされるが、副作用に血管炎が発症することは報告されている。今回我々はVNRを使用し、血管炎および皮膚炎を発症した2例を経験した。同症例に対して皮膚生検を行ない、病理学的検討を加えたので報告する。
[症例1] 82歳・男性、PS 1、腺癌、T2N3M0、c-stage IIIB、前治療として化学療法1st.CDDP+VDS+IFM(NC)及び2nd.CPT-11+IFM(間質性肺炎で中止)あり、手術(-)、放射線治療(-)。VNR 25mg/m2(day1, 8, 15, 21)で、VNRを生理食塩水50mlで希釈し約20分で前腕末梢静脈から投与した。投与30後から疼痛を伴う発赤腫脹が静脈に沿って出現し、翌日には四肢末梢に紅斑が出現した。
[症例2] 71歳・男性、PS 1、扁平上皮癌、T4N2M0、c-stage IIIB、前治療(-)。CDDP 80mg/m2(day1)+ VNR 25mg/m2(day1, 8, 15, 21)で、VNRは症例1と同様に投与した。VNR投与10分から疼痛を伴い血管に沿って発赤腫脹が出現した。
 病理学的には2例ともに同様の結果が得られた。血管壁に浮腫および血管内に炎症細胞浸潤はなかった。血管壁外周囲に単核球を中心とした炎症細胞浸潤および浮腫を認めた。ただし好酸球浸潤はなかった。

受付番号:P037


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