第44回日本呼吸器学会九州地方会一般演題抄録
演題番号: C15
腫瘤陰影を呈した反応性リンパ過形成の一症例公立玉名中央病院
○岡本紀雄、佐藤賢文、藤本尚子、佐藤英明
牛島正人、木山程荘、村上敬一、今岡秀俊
熊本中央病院病理研究科
北岡光彦
江南病院病理研究所
大塚陽一郎
症例は40歳女性、平成9年甲状腺腫瘍摘出術の既往あり。平成11年8月健診で胸部異常陰影を指摘され紹介受診。自覚症状は特になし。胸部X線写真および胸部CTで右S8に浸潤影を認め、気管支鏡下肺生検を行った。組織では明らかな悪性所見は認めないが、気管支壁や血管壁周囲に比較的限局した密な小型リンパ球の浸潤がみられた。また肺胞腔内に多数のマクロファージを認めた。リンパ増殖性疾患を疑い再度気管支鏡を施行したが確定診断に至らず、悪性リンパ腫の可能性も否定できないため、胸腔鏡下右下葉切除術を行った。肉眼的には臓側胸膜への浸潤は認められず、長径約4cmの弾性硬の腫瘤として触知し、割面は白色調で充実性であった。組織所見ではTBLBと同様、気管支血管束、小葉間隔壁に沿ってリンパ球浸潤が見られた。明らかなリンパ濾胞は認められなかった。遺伝子学的検索ではTcR、Ig遺伝子の再構成は見られず、monoclonalityは認められなかった。以上より反応性リンパ過形成と診断した。 肺のリンパ増殖性疾患は組織所見のみでは確定診断が困難な面があり、遺伝子学的解析が有用と考えられ、今回その検討を行ったので報告した。 |
受付番号:P036