第44回日本呼吸器学会九州地方会一般演題抄録
演題番号: D04
好酸球増多を示した胸膜炎の原因として犬糸状虫症が推定された一例国立療養所再春荘病院呼吸器科
○東原奈美,福島一雄,濱本淳二,今村文哉,
白川妙子,本田 泉,杉本峯晴,直江弘昭
犬糸状虫症の肺病変は,多くの症例で肺野の孤立結節影を呈する。今回,胸膜炎にて発症し,原因として肺犬糸状虫症が推定された稀な一症例を経験したので報告する。 症例は66歳男性.C型肝炎のため,近医通院治療中であったが,平成12年1月半ばから咳が出現した。1月20日頃から発熱が持続し,近医で撮影した胸部写真で異常影を指摘され,2月14日本科紹介入院となった。 入院時理学所見では右肺野の呼吸音減弱,腹部で右季肋下に肝を触知した。入院時検査成績では白血球数 11820,分画で好酸球 17 %,CRP 5.11 mg/dl,胸部写真では右肺に胸膜側から半円状に突出した陰影と中下肺野のスリガラス状陰影を認めた。入院第2病日行った胸腔穿刺の結果,胸水は淡橙色で,蛋白 4.8 g/dl,糖 68 mg/dl,LDH 1165 IU/lであり,分画では82%が好酸球であった。入院時血清および胸水に対するELISA法にて,犬糸状虫抗原に対する抗体反応が陽性であり,本症例は犬糸状虫を原因とした胸膜炎と推定された。 |
受付番号:P035