第44回日本呼吸器学会九州地方会一般演題抄録

演題番号: C21

急速な経過をとって死亡したANCA関連血管炎の一例

鞍手町立病院
○吉川めくみ、西村宗胤、今村英世、
 猿渡直子、中原 伸、松波道也、
 古賀英之、川原正士


 症例は、84才女性。生来健康。99年6月中旬より排尿困難あり、近医受診。腎盂炎を疑われて内服抗生剤処方されたが改善なく、さらに胸部X線写真で肺炎を疑われたためH11.6/29当院紹介入院となる。咳嗽、喀痰などの呼吸器症状なし。尿検査では蛋白尿、血尿を認め、採血ではWBC 7400、neutro 75%、Hb 5.2g/dlと高度の貧血あり。生化学検査ではBUN/Cre 62/5.7と腎機能障害を認めた。CRP10.7と上昇し、PO2 67.4Torr、SAT 93.3%と低酸素血症を認めた。胸部X線写真、肺CT像にて両側肺に非区域性に浸潤影を認めた。広域抗生剤処方したが浸潤影拡大あり。気管支鏡検査にて肺出血を認めたため肺腎症候群を強く疑い、ステロイドパルスにて加療したが反応なく、人工呼吸管理としたが7/5に他界された。後にP-ANCA1000以上と有意に上昇認めたためANCA関連血管炎と診断した。
 本症例は84才と高齢者に発症し約3週間という急速な経過をとり死亡した点が興味深いと思われたため報告した。

受付番号:P033


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