第44回日本呼吸器学会九州地方会一般演題抄録

演題番号: B01

サトウキビ農作業の土壌粉塵環境で発症したmixed dust fibrosisの3例

沖縄赤十字病院呼吸器内科
○町田宗正、島田謙一郎
同病理
 島田篤子


 土ぼこりの多い農作業歴のある女性に発症したmixed dust fibrosisの3例を経験したので、文献的考察を加え報告する。
[症例1] 58才女性、呼吸苦と両下肢の浮腫を主訴に受診。約30年間、さとうきび畑で下草を刈るなどの農作業に従事していた。
[症例2] 82才女性、以前より胸に影があるといわれ、乾性咳嗽と呼吸困難にて受診。約35年間、サトウキビ農作業に従事していた。
[症例3] 74才女性、心疾患にて通院中、肺線維症で紹介。約30年間、サトウキビ農作業に従事していた。
 3例とも長期のサトウキビ農作業の経験をもち、比較的高齢の女性で、喫煙歴はなく、農薬の曝露歴もなかった。臨床的にはIIPの慢性、A型であった。
 乾燥している季節には、さとうきびの葉にパウダー状の土ぼこりが堆積しており、農作業後は、土ぼこりで鼻腔が汚れる状態であった。その長期の吸入曝露が原因と考えられた。
 IIPの成因は不明であるが、粉塵との関連が指摘されている。家庭内粉塵の約60%が土壌粉塵との報告もあり、本例もIIPの原因に粉塵説を示唆する興味ある症例と考え報告した。

受付番号:P032


[戻る]