第44回日本呼吸器学会九州地方会一般演題抄録
演題番号: B13
上肺野優位の間質性陰影を呈したAmiodaroneによる薬剤性肺炎の1例福岡県立嘉穂病院
○高木陽一、加藤千鈴、上川路信博、大串修
症例は79才男性。Amiodarone内服開始後20日目に、感冒様症状と血痰にて発症、9日後呼吸不全悪化のため当科入院となった。著明な低酸素血症と、両上肺野優位の間質性陰影、両側胸水、末梢血好酸球増多、IgE増多、胸水好酸球増多を認めた。AmiodaroneのDLST検査は陰性であったが、経過から同薬剤による薬剤性肺炎と診断した。人工呼吸管理とメチルプレドニソロンによるパルス療法を2回施行したが、第26病日呼吸不全悪化のため死亡された。 Amiodaroneは、致死的不整脈に対する抗不整脈薬であり、amiodarone pulmonary toxicity (APT)として、間質性肺炎、肺胞炎、肺線維症の合併の頻度が高いと報告されている。本症例では、画像上、上肺野優位の特徴的パターンを示した。薬剤性肺炎出現機序は明確でないとされるが、薬剤血中濃度が治療域であったこと、および好酸球とIgE増多を示したことから、アレルギー性の発症機序が考えられた。患者が薬剤の副作用の説明を受けていたにも拘わらずpatient delayが7日存在し、日常臨床で注意すべき薬剤と考えられた。 |
受付番号:P029