第44回日本呼吸器学会九州地方会一般演題抄録
演題番号: D22
魚骨が原因と思われる下降性壊死性縦隔炎の一例熊本大学医学部第一内科
○小島隆嗣、山中徹、佐藤圭創、坂本理、
松本充博、興梠博次、菅守隆、安藤正幸
同集中治療部
金子健吾、本山剛、岡元和文
同第一外科 安永正浩、田平洋一
症例は50歳 男性。両側大腿骨頭壊死に対し大腿骨頭置換術目的にて近医に入院中、39℃台の発熱、両顎下腺の腫脹が出現。4日後には腹痛、息苦しさも出現し、6日後の腹部X線上イレウスが疑われ熊本地域医療センターへ転院。転院後、胸部CTにて縦隔炎を疑われ、同日午後当院の集中治療部へ入室となった。発熱の数日前に6日魚骨が喉につかえたエピソードがあった。 入室時、低体温、軽度の意識障害、低酸素血症を認め、呼吸管理、循環管理等の全身サポートをおこなった。抗生剤は CLDM,IPM/CS を投与し、縦隔炎に対し縦隔ドレナージ術施行したところ、縦隔より悪臭ある血性液体の流出を認め縦隔炎と診断した。術後、徐々に心肺機能低下となり、翌日の午前5時46分永眠された。亡くなった後、遺族の同意を得て行なった剖検にて喉頭蓋の下部に1cm大の穿孔及び食道周囲膿瘍を認め、魚骨は確認できなかったが、喉頭部に魚骨が刺さり生じた化膿性炎症が下降し食道周囲などの縦隔へ進展した下降性壊死性縦隔炎と考えられた。 魚骨による下降性壊死性縦隔炎はまれであり、貴重な一例と考えられた。縦隔炎は臨床経過と症状からまず縦隔炎を疑うことが必要であり,早期診断が必要となるが、それらについて文献的に考察する。 |
受付番号:P021