第44回日本呼吸器学会九州地方会一般演題抄録
演題番号: B20
剖検により診断し得た胃癌による肺腫瘍塞栓の1例宮崎県立延岡病院内科
○藤元千絵、山口哲朗、吉田俊彰、加藤英司、
岩切徹、児玉英昭
同臨床検査科病理
石原明
今給黎医院
萩原敬史
今回、呼吸困難を主訴とし急激な経過をとり、剖検にて肺腫瘍塞栓症と診断した1例を経験したので報告する。 症例は48歳、女性。平成11年10月頃より乾性咳嗽を自覚していた。平成12年2月27日より労作時の呼吸困難を自覚し、近医受診し、低酸素血症にて入院となった。胸部X線上明らかな異常を認めず、右心カテーテル検査にて肺動脈圧の上昇を認めた。肺塞栓症と診断し、ヘパリン15000U/dayの投与を開始したが低酸素血症の悪化を認めたため同年3月3日当院紹介入院となった。肺血流シンチでは、上肺野の血流の軽度上昇と両肺の末梢側に多数の非区域性の欠損像を認め、胸部CTでは、肺動脈のうっ血像を認めた。その後、低酸素血症は増悪し3月7日に死亡した。剖検にて胃癌(Borrmann 3型、ss、ly3、v1)と肺血管内に広範な腫瘍塞栓が証明された。胃癌の肺動脈塞栓の貴重な症例を経験したので報告する。 |
受付番号:P019