第44回日本呼吸器学会九州地方会一般演題抄録
演題番号: D24
嗄声を来した肝細胞癌による前縦隔転移の1例社会保険田川病院呼吸器内科
○川山智隆、今村友子、藤木 玲
久留米大学第一内科
大泉耕太郎
嗄声を来した肝細胞癌による前縦隔転移の稀な1例を経験した。症例は65歳・男性、腹部交通外傷後に輸血歴があり、10年前からB型慢性肝炎を指摘されていたが放置。‘99年7月に嗄声を主訴に当院を受診。胸部X線で縦隔の拡大を認め、胸部CTで前縦隔に腫瘍を認めた。また肝臓S8に占拠性病変があり、経皮的肝腫瘍生検で肝細胞癌と診断された。前縦隔腫瘍に対してエコーガイド下腫瘍生検では、確定診断には至らなかった。久留米大学病院第2内科転院後、CTガイド下腫瘍生検で肝細胞癌による前縦隔転移が疑われ、胸部放射線照射及び全身化学療法を施行したが、progressive diseasesで同年11月に他界した。 肝細胞癌は肝内、肺、腹腔内リンパ節及び骨への転移が大部分を占め、本症の如く前縦隔への転移は非常に稀とされている。エコー及びCTガイド下腫瘍生検では他の前縦隔腫瘍との鑑別が困難であり、貴重な症例であると思われたので報告する。 |
受付番号:P015