第44回日本呼吸器学会九州地方会一般演題抄録
演題番号: D19
非定型抗酸菌症の経過中に肺結核症を発症した一例国立療養所再春荘病院
○本田 泉、濱本淳二、今村文哉、前田淳子
山之内健伯、白川妙子、福島一雄、杉本峯晴
直江弘昭
肺結核後遺症に非定型抗酸菌症を合併する例はときに経験する。逆に非定型抗酸菌症の経過中に肺結核を発症する症例はきわめて稀である。今回我々は非定型抗酸菌症の経過中に耐性肺結核症を発症した一例を経験したので報告する。 症例は56歳女性。平成9年11月頃より全身倦怠感が出現したため前医を受診。胸部異常陰影と喀痰中から抗酸菌を検出され平成10年1月9日当院紹介入院となった。入院後HRZEにて治療を開始したが抗酸菌同定にて非定型抗酸菌症と判明したためHRE+CAMで治療を継続し3月20日退院した。平成10年末より発熱が出現し解熱傾向がないため平成11年2月10日再入院となった。再入院後一般抗生剤、新キノロンなどを追加したが症状の改善はなく胸部X線も増悪を示した。同時期に喀痰よりM.avium, M.tuberculosisを同時に検出した。耐性検査にて多剤耐性の結核菌であることが判明し病状は急速に悪化、7月17日永眠した。 非定型抗酸菌症の経過中増悪がみられた場合非定型抗酸菌症そのものの悪化は当然であるが、肺結核症合併も鑑別する必要があると考えられた。 |
受付番号:P013