第44回日本呼吸器学会九州地方会一般演題抄録
演題番号: D23
特発性線維性縦隔炎の一例鹿児島県立北薩病院呼吸器科
○末次隆行、松下尚憲、田中修也
症例は74歳女性。慢性耳下腺炎、後腹膜線維症の既往(+)。右頚部腫瘤、胸部異常影の精査目的で当科受診。血液学的検査では血沈が73mm/hと亢進し、尿酸が6.7と軽度上昇している以外明らかな異常を認めず。胸部X線上、縦隔陰影の拡大と右胸膜の肥厚を認めた。胸腹部CTでは右胸膜の肥厚、前縦隔、頚部及び腹部大動脈周囲に軟部組織濃度の腫瘤を認めた。Gaシンチでも同部位に異常集積を認めた。経皮的吸引針生検を施行し、特発性線維性縦隔炎と診断した。ステロイド剤投与により、画像所見、検査所見ともに改善傾向がみられている。 特発性線維性縦隔炎は極めて稀な疾患であり、縦隔内の主要組織を圧迫、閉塞を起こし、種々の症状をきたすが、治療方法は確定しておらず、外科的治療が必要な症例もあるとされる。若干の文献的考察を加えて報告する。 |
受付番号:P012