第44回日本呼吸器学会九州地方会一般演題抄録
演題番号: C20
肺胞出血をきたしたプロピルチオウラシルによる薬剤性ANCA関連血管炎症候群の一例産業医科大学呼吸器病学
◯小原由美、矢寺和博、今永知俊、
林俊成、吉井千春、城戸優光
症例は51歳女性。24歳時に近医にてバセドウ病と診断され内服治療を受けていたが詳細は不明。43歳時にチアマゾールにより顆粒球減少をきたし、以後プロピルチオウラシル(PTU)の投与を受けていた。3年前より時々血痰あり。平成10年2月及び4月の胸部CTにてびまん性陰影あり、PSL 30mgの内服治療を受け自覚症状及び胸部陰影は改善したが、この頃血尿、蛋白尿出現。平成11年7月より血痰、8月に呼吸困難、胸部X線上にて両肺野に広範な浸潤影を認め、当科に入院。画像所見、気管肺胞洗浄にて肺胞出血と考え、MPO-ANCA高値でありPTUによる薬剤誘発性のANCA関連性血管炎症候群と診断した。PTU中止、ステロイド投与により改善したが、ステロイド漸減中に再燃したため、シクロホスファミドを併用し現在ステロイド漸減中である。 本例はPTUによる薬剤誘発性ANCA関連血管炎症候群で肺胞出血をきたしたと考えられる。本邦では数例の報告例しかなく、文献的考察を加え報告する。 |
受付番号:P010