第44回日本呼吸器学会九州地方会一般演題抄録

演題番号: D27

肺末梢孤立性陰影を呈したBALTリンパ腫の一例

佐賀県立病院好生館内科
○高橋浩一郎、杉原充、小柳孝太郎、
 宮本祐一
同外科
 坂田敬、古川次男
同病理
 山崎文朗、入江康司


[症例] 75歳女性。63歳時に甲状腺乳頭癌に対し、甲状腺切除術および放射線療法(Co60、計60Gy)を施行。1999年11月の健康診断にて胸部X線異常を指摘され入院。胸部X線・胸部CTにて、右B3末梢にAirbronchogramを伴う径3cmの腫瘤陰影を認めた。画像検査では遠隔転移は認めなかった。2000年1月31日、胸腔鏡下肺腫瘍生検を行い術中迅速病理で、リンパ腫の診断であったため、開胸し肺部分切除術を施行。切除標本は、22×20×14mmの黄白色調の腫瘤であり、中型異型リンパ球のびまん性浸潤を認め、いわゆるLymphoepithelial lesionを認めた。免疫染色は、PanB陽性、PanT陰性、表面形質はCD19、CD20、HLA-DR陽性、免疫グロブリンH鎖再構成を認め、BALTリンパ腫と診断。
[考察] 肺原発悪性リンパ腫は稀な疾患であり、節外性リンパ腫の中で3.6%と頻度は低い。大多数は低悪性度B細胞リンパ腫であり、比較的予後良好な疾患とされている。画像的には、Airbronchogramを伴う腫瘤影を認めることが多く本症例に合致する。肺BALTリンパ腫の一例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する。

受付番号:P004


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