第44回日本呼吸器学会九州地方会一般演題抄録

演題番号: B06

超硬合金吸入歴のあるUIP型組織像を呈した肺線維症の1例

鹿児島市立病院内科(呼吸器)
○東元一晃、渡辺正樹、上村和代
 新名清成
鹿児島大学第3内科
 是枝快房、川畑政治、納光弘


 症例は57歳男性。約9年間の超硬合金(タングステン、コバルト)研磨の職業歴がある。2ヶ月以上続く乾性咳嗽と労作時息切れを主訴に当科外来初診。胸部聴診上はわずかにfine crackleを聴取するのみであったが、ばち状指が著明であった。また、胸部X線写真上、両側全肺に線状網状陰影を認め、CTでは、陰影は上葉、胸膜直下に優位でわずかに蜂巣肺もみられた。低酸素血症は明らかではなかったが、肺機能上、拘束性(%VC 51)、拡散能低下(%Dlco 63)もみられた。胸腔鏡下肺生検を行った結果、胸膜直下優位にリンパ球、好酸球の浸潤を伴った器質化、線維化が認められ、honey combの所見を呈する部分と既存の肺胞構造を残した部分が混在したUIP型組織の慢性間質性肺炎と診断された。
 従来、超硬合金肺は、多核巨細胞の出現を示すGIP型が特徴的とされるが、本症例同様UIP型組織を呈する類似症例も近年報告されており、超硬合金吸入に関連して特発性間質性肺炎同様の線維化を来す可能性があることが示唆された。

受付番号:P003


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