第44回日本呼吸器学会九州地方会ランチョン・セミナー抄録
非侵襲的人工換気の導入
国立療養所南京都病院 坪井 知正
非侵襲的陽圧換気法(Noninvasive Positive Pressure Ventilation:NIPPV)は、鼻マスクあるいは顔マスクを使用し、挿管や気管切開等の侵襲的手段を用いずに陽圧人工呼吸を行う方法である。NIPPVは、肺実質の損傷の少ない肺結核後遺症などの胸郭性拘束性換気障害に最も有効である。管理が容易なことから、在宅での長期人工呼吸に適しており、わが国においても、近年、急速に普及してきている。また、NIPPVは、慢性呼吸不全の急性増悪時や、呼吸器系の基礎疾患を持たない急性呼吸不全症例に対しても挿管下人工呼吸や気管切開下人工呼吸等の侵襲的方法に比べ、勝るとも劣らない効果を有することが報告されている。 本セミナーでは、まず代表的な慢性期および急性期でのNIPPV導入症例を紹介し、次に1999年末までに長期NIPPV療法を導入した122症例の臨床成績を報告する。時間が許せば、NIPPV開始時期に関する試案、NIPPV施行中の患者のQOL、急性増悪時における呼吸管理方法の事前指示(Advanced directive)、NIPPVを用いた呼吸リハビリテーションの可能性、医療スタッフ間の連携の重要性(看護マニュアルの必要性)についても言及する予定である。 |